はじめに
「強い上昇トレンドだ、今がチャンスだ!」そう確信して買いエントリーした直後、価格が急反落して損失を被ってしまった。FXを経験した多くのトレーダーが、一度はこんな悔しい思いをしたことがあるのではないでしょうか。トレンドに乗っているはずなのに、なぜかいつも自分が買うと価格が下がる。これは初心者にありがちな失敗ですが、実は中級者でも陥りやすい罠です。
この問題の根源は、トレードの「考え方の順番」にあります。今回ご紹介する動画では、多くのトレーダーが見落としている「逆算」というテクニックに焦点を当てています。これは、「どこでエントリーすべきか?」という問いから始めるのではなく、「理想的な利確ポイントはどこか?そのために、どこでエントリーすべきか?」と、出口から逆算して戦略を立てる思考法です。
このシンプルな視点の転換こそが、勝ち続けるトレーダーと負け続けるトレーダーを分ける決定的な差であり、安定したトレードを実現するための鍵となります。この記事では、動画の要点を凝縮し、なぜ「逆算」があなたのトレードを劇的に変える力を持つのかを解説します。
「良いエントリー」の常識が覆る瞬間
動画では、まず視聴者にシンプルなクイズが提示されます。「このチャート上で、あなたはどこで買い、どこで決済しますか?」多くの人が、上昇トレンドが確定し、最も勢いがあるように見える高値圏を「安全なエントリーポイント」として選びがちです。なぜなら、トレンドが明確で、安心感があるからです。
しかし、動画が明らかにする衝撃的な事実は、その「最も安全に見えるエントリーポイント」こそが、実は熟練トレーダーたちが利益を確定(利確)する「出口」だということです。ここで自問してみてください。クイズの上では理想的な押し目買いポイントを答えられたとしても、実際のトレードであなたは本当にそこでエントリーできていますか?それとも、やはりこの高値圏で飛び乗ってしまってはいませんか?
動画では、この現象こそが損失の最大の原因であると指摘されています。
トレードの負け方の大半はこの高値つかみにあるってことです。
初心者が希望を持ってエントリーする場所が、勝者の利確ポイントであるという事実。この認識のズレこそが、多くのトレーダーが同じ上昇トレンドの中で何度も「高値づかみ」を繰り返し、損失を出す構造的な理由なのです。
勝者は「準備」し、敗者は「反応」する
では、勝者と敗者では、具体的に何が違うのでしょうか。その答えは「準備」が生み出す時間的・精神的な余裕の有無にあります。
- 勝つトレーダーの思考プロセス 彼らは、相場がN字の波形を描きながら動くことを予測しています。強い上昇を確認すると、すぐには飛びつきません。その後の調整による下落(押し目)を冷静に待ち、「このあたりで反発すればエントリーしよう」と事前に準備を始めます。この準備期間があるため、エントリーまでに「時間的余裕」が生まれ、恐怖感やドキドキ感が消え、落ち着いて行動できます。一般のトレーダーが「怖い」と感じる押し目でのエントリーも、準備があるからこそ、確率の高い行動だと理解して実行できるのです。
- 負けるトレーダーの思考プロセス 彼らは、上昇トレンドが確定したのを見て、「強いぞ、乗り遅れるな!」と即座に反応します。分析とエントリーがほぼ同時に行われるため、何の準備もありません。その結果、ポジションを持った後に価格がどう動くかの予測が欠けており、少しの上げ下げで心が「振られてしまう」のです。高値圏の「安全」に見える感覚に誘われてエントリーすることは、実は「この後、チャートはあり得ないほど垂直に伸び続ける」という、極めて稀なパターンに賭けているのと同じです。あなたは、本当にその賭けをする準備ができていますか?
この「準備」というフェーズの有無が、トレードの質を決定的に分けます。勝者は未来を予測して「時間的余裕」を確保し、計画的に行動します。一方で、敗者は目の前の値動きにただ反応しているだけなのです。
ヒントは将棋とテニスにあり
この「逆算」という考え方は、FXだけに通用する特殊なテクニックではありません。動画では、将棋とテニスを例に挙げ、これが普遍的な上達の原則であることを説明しています。
- 将棋のアナロジー 初心者は、自分の次の⼀⼿のことしか考えません。なぜなら、相手がどう応じてくるかを予測するための「材料」が頭の中にないからです。しかし、上級者は「自分がこう指したら、相手はこう応じるだろう。それなら、最初の⼀⼿はこれだ」と、相手の反応を読み、そこから逆算して最善の⼿を選びます。
- テニスのアナロジー テニスでは、上達の段階がより明確です。
- 初級者: ボールが自分のコートにバウンドしてから走り出します。時間的余裕がほぼゼロです。
- 中級者: 相手がラケットを振る仕草を見て、ボールのコースを予測し始めます。少し時間的余裕が生まれます。
- 上級者: 自分が打ったショットの感触から、相手がどこに返してくるかを予測します。相手が打つ前から逆算が始まっているため、時間的余裕が最大化されます。
将棋もテニスも、そしてFXも、熟練者のパフォーマンスは、予測を通じていかに多くの「時間的余裕」を生み出すかによって定義されるのです。
「逆算力」を鍛える、唯一の方法
では、このFXにおける「逆算力」は、どうすれば身につけられるのでしょうか。それは生まれ持った才能ではなく、特定のトレーニングによって後天的に習得できるスキルです。動画が推奨するその唯一の方法が、過去検証です。
過去検証とは、自分がトレードしたい通貨ペアや時間足の過去のチャートを大量に見返す作業です。将棋の初心者が相手の次の一手を読めないのは、予測するための「材料」が頭にないからでした。過去検証は、まさにこの「材料」――すなわち相場のパターン――を脳内に蓄積するプロセスなのです。
チャートを繰り返し見ることで、「こういうパターンが出た後は、こう動きやすい」という相場の「クセ」が無意識レベルで刻み込まれます。この膨大なパターン認識のライブラリこそが、未来の値動きを予測する力、すなわち「逆算力」の源泉となります。まずは得意な通貨ペアのチャートを1日分、2日分と眺めることから始めてみてください。それだけでも、多くのトレーダーとの間に大きな差が生まれるはずです。
おわりに
FXで成功を収めるために本当に必要なのは、最新のインジケーターや複雑な理論ではありません。それは、「エントリー」からではなく「理想の出口(利確)」から思考をスタートさせるという、根本的な意識の転換です。
この「逆算」アプローチを習慣にすることで、高値づかみのような致命的なミスを自然と避けることができます。そして、事前に準備することで生まれる精神的な安定は、長期的に一貫したパフォーマンスを発揮するための強固な土台となるでしょう。
今回の記事で紹介した内容は、あなたのトレードを根底から見直すきっかけになるかもしれません。ぜひ、実際のチャート例を交えて解説されている動画本編もご覧ください。
Watch the full video to see how this “working backward” technique is applied to real charts.

