はじめに
「古い車と暮らすこと」——それは、単なる移動手段を所有することではなく、時を止めたようなロマンや、自分だけの「憧れの景色」を日常に招き入れる行為に他なりません。ガレージのシャッターを開けた瞬間、そこに佇む名車のシルエットが視界に入る。そのたびに胸が高鳴り、日常の解像度が一段上がるような感覚。それこそが、旧車が持つ魔力です。
今回、FXトレーダーとして知られる水島翔氏が、愛車「メルセデス・ベンツ 450SL」を手放すという決断を下しました。1980年式のこの名車は、彼が理想のガレージを構築する過程で迎え入れ、約2年という歳月を共にしてきた個体です。
この決断は、単なる車の売買以上の意味を持っています。なぜなら、彼がこの車を通じて語る「ガレージライフの哲学」は、物欲の先にある「人生の豊かさ」の本質を突いているからです。なぜ、こだわり抜いて仕上げた一台を、今あえて手放すのか。その美学に触れることは、自分らしいライフスタイルを模索するすべての人にとって、知的な刺激に満ちた体験となるはずです。
43年の時を超えて放つ、唯一無二の存在感
水島氏のガレージで圧倒的なオーラを放つのは、1980年(昭和55年)式「メルセデス・ベンツ 450SL」。初年度登録から43年という歳月を経た、まさにアナログ時代の傑作です。水島氏はこの個体をガレージの建設中に入手し、そこから約200万円という巨費を投じて、自身の理想を形にしてきました。
まず目を引くのは、そのカラーリングです。この車のために特別に選ばれた渋いグリーンへと全塗装されたボディは、陽の光を浴びれば深みを増し、日陰では静かな気品を湛えます。モール類はすべて純正の新品を取り寄せ、その費用だけで10万円を優に超えるという徹底ぶり。タイヤにはベンツ純正でも採用されるコンチネンタルの新品を履かせ、外装はまさに「パキッと」仕上がっています。
ドアを開ける際の「ガチャン」という重厚な音、そして乗り込んだ瞬間に身体を包み込む、当時のベンツ特有の「ふかふか」としたシートの感触。これらは現代の車では決して味わえない、1980年代のドイツ工学が到達した贅沢の極みです。
一方で、水島氏はあえて「嘘のない」姿を晒します。
- エンジンルームは当時のまま。あえて過剰なクリーニングを施さない「正直な美しさ」。
- エアコンの不具合も隠さず公表。
- オリジナルに固執せず、AMGスタイルやナルディのステアリングを採用し、自分の好みを優先。
「この形がいいっていう人はちょうどいいかもね」
誰かのためのコレクションではなく、自分が愛でるための道具。その自律的な美学こそが、この450SLに唯一無二の生命力を吹き込んでいるのです。
モノではなく「経験」を買う。ガレージライフの真髄
水島氏が提唱するガレージライフは、決して受動的なものではありません。彼は、ガレージで椅子に座り、車を眺めながら過ごす時間を「風景を味わう」と表現します。
「車は単なるモノだが、それがそこにあることで、ガレージという空間が『景色』に変わる」。この視点は、多くの「所有」に疲れた現代人に深い洞察を与えてくれます。彼にとって、理想のガレージライフとは、単に高価な車を並べることではなく、メンテナンスや洗車、時には雑草を抜くといった、一見面倒な「労働」さえも楽しむ能動的な営みなのです。
「僕が欲しいのはそのものじゃなく、そのものがあることによって得られる経験、体験、この見える景色だから」
この力強いメッセージは、行動することの大切さを教えてくれます。理想の景色は、待っていても手に入りません。自ら動き、空間を整え、お気に入りの一台を自分好みに仕立て上げる。そのプロセスで得られる高揚感こそが、人生を豊かにする「経験価値」の本質です。水島氏は、「面倒だと思う人はガレージライフに向いていない」と断言します。 luxury(贅沢)とは、愛するものに手間をかける時間そのものにあるのです。
「嘘のない」譲渡条件と、旧車を愛するための覚悟
今回、水島氏が提示した譲渡価格は「400万円」。これは、車両の取得価格に200万円のカスタム費用を乗せた、文字通りの「利益度外視・原価販売」です。同型の450SLが市場では500〜600万円、コンディションの良い個体なら1,000万円近くで取引されることもある中、この価格設定は「この車を本気で愛してくれる人と縁を結びたい」という彼の誠実さの現れです。
しかし、水島氏はあえて購入者に厳しい現実を突きつけます。
- 「エアコンに関してはもう付いていないものとして捉えて欲しいかな」
- 「旧車だから、渡した瞬間に壊れるリスクも当然ある」
- 「ローン不可、現金一括のみ」
- 「匿名や鍵垢からのDMは受け付けない」
これは、旧車という気難しい「生き物」と向き合うための、最低限の作法です。エアコンがないことを「オープンにして走ればいい」と笑い飛ばせる余裕、そしてトラブルを「旧車ならではの対話」として楽しめる精神的・経済的なゆとり。水島氏は、単なる買い手ではなく、この美学を継承できる「良きオーナー」を探しているのです。
また、Amazonで購入したバッテリーテンダーのケーブルや、未使用の純正ゴムパーツといった、彼がこの2年間、細やかに愛情を注いできた証も次のオーナーへ託されます。そこには、大人の趣味人としての、嘘のない誠意が溢れています。
おわりに
水島氏がこの愛着ある450SLを手放すのは、決してこの車に飽きたからではありません。それは、「完璧なコレクション」という次なる山頂を目指すための、前向きな「断捨離」なのです。
彼の視線は、すでに次なる伝説——1967年式のマスタング・ファーストバックへと向けられています。302エンジンではなく、より力強い「ビッグブロック」を積み、マニュアルで操る一台。旧車というジャンルにおいて、より妥協のない「理想の景色」を完成させるために、彼は一つひとつのバトンを繋いでいきます。
人生において、何かを手放すことは、新しい何かを招き入れるための余白を作ることでもあります。
皆さんは、今、どんな「景色」の中で生きていますか?
もし、日常がどこかモノクロに感じられるのなら、自分にとっての「理想のガレージ」を想像してみてください。水島氏のドラマチックな決断が収められた動画には、単なる車の紹介を超えた、人生を豊かにする「行動のヒント」が散りばめられています。
フル動画を視聴して、あなたにとっての「豊かなライフスタイル」の正体を見つけてみてください。そこには、扉を開くための鍵が隠されているかもしれません。

