はじめに
「コレクション」と聞くと、私たちは何を思い浮かべるでしょうか。お気に入りの品を一つひとつ丁寧に集め、生涯大切にそばに置いておく。そんな、静かで愛情深いイメージを持つ人が多いかもしれません。
では、もしコレクションの本当の喜びが「所有」そのものではなく、絶え間ない「進化」にあるとしたら?
あるFXトレーダー、水島翔氏のYouTube動画が、そんな新しい視点を教えてくれます。彼のガレージツアーは単なる愛車紹介ではありません。それは、大切にしているはずの所有物に対する、驚くほど流動的で自由な哲学の探求でした。コレクターが持つあらゆる本能に逆行するような思想ですが、そこには否定しがたいほどの合理性と魅力が宿っています。この動画は、所有、欲望、そして自由というものについて、深く考えさせられるきっかけを与えてくれるのです。
「コレクションは入れ替えていかなきゃ」という衝撃
動画の中で水島氏が語る哲学の核、それは「入れ替え」という考え方です。多くのコレクターにとって「上がりの一台」とも言えるような珠玉の名車たちを、彼は驚くほどあっさりと「売ってもいい」と語ります。
例えば、息をのむほど美しく仕上げられたハコスカ。彼は、次なる夢のクルマであるS30Zを「作る」ための資金として、このハコスカを売ることを考えていると言います。ただ買うのではなく、自らの手で理想の一台を「作らないといけないから」という言葉に、彼の情熱が所有欲だけでなく、創造への渇望にあることが表れています。
他にもKZ1000 Mark IIのレプリカや、映画『ワイルド・スピード』に登場した**Z(通称ワイスピのZ)**まで売却を検討しているというのですから、この哲学がいかに徹底されているかがわかります。さらに印象的なのが、59年式のインパラを手放す理由です。彼は「細かなサビや、完璧ではないエンジンルーム」を挙げ、この状態を愛してくれる人がいるなら、その人に譲りたいと語ります。完璧主義の彼がすべてをやり直すには莫大な費用がかかるけれど、このクルマの「今」を価値としてくれる人がいるのなら、と。
しかし、これは無差別にすべてを売り払うということではありません。最近購入したC10ピックアップは「売らない」と明言し、ランボルギーニは「1億とかじゃないと売らない」と語ります。彼の哲学は、無計画な放出ではなく、明確な意思を持った「キュレーション」であり「進化」なのです。コレクションを静的な展示品ではなく、常に変化し続けるダイナミックな「旅」として捉え直す、衝撃的な視点です。
「買いたいのを買えないのは自由じゃない」
このガレージにおける絶え間ない循環は、単に新しいおもちゃを手に入れるための手段ではありません。それは、水島氏が人生をかけて追求する、より深い原則が物理的な形となって現れたものなのです。彼の目標は、自らの「欲しい」という欲望と、それを手に入れる「行動」との間の摩擦をなくすこと。その哲学を、彼は力強い言葉で定義します。
行きたいのに行けないは自由じゃない。買いたいの買えないのは自由じゃない。
かつての彼は、欲しいものがあれば収入を超えてでも買い、「その後稼げばいい」というマインドで突き進んできたと語ります。しかし、彼の哲学の深さは、その先にあります。「でもそろそろ、そういうリスクのある買い方はやめようかなって思ってる」という現在の心境を、彼は率直に明かすのです。これは単なる無謀さや絶対的な自信の物語ではありません。強い哲学を原動力に走り続けてきた人物が、今また新しいフェーズへと進化しようとしている、思慮深く人間的な一面の表れなのです。
モノの価値は「使う」ことだけではない
彼の哲学のもう一つの側面は、ガレージにずらりと並んだSnap-onの工具コレクションから見えてきます。それは、「モノの価値は、その実用性だけで決まるわけではない」という考え方です。彼は工具を一つひとつ丁寧に磨き上げますが、必ずしも仕事で使うわけではありません。
このコレクションが持つ本当の価値は、もっとエモーショナルな部分にあります。彼は「負けた時に見ると『おっ』てなる」と語るのです。それは彼にとって、単なる道具の集合体ではなく、心を奮い立たせるための装置であり、モチベーションの源泉なのです。
この感覚は、多くの人が共感できる他のコレクションと何ら変わらない、と彼は続けます。
- スニーカーだってさ、履かずに飾ってる人もいるでしょ
- バイクだって、乗らずに飾ってる人もいる
「使わないのになぜ買うのか?」という素朴な問いに対し、彼の答えは明快です。所有し、磨き、ただ眺めて楽しむ。その純粋な喜びそのものに、疑いようのない価値があるのです。
おわりに
水島氏の動画は、高価なクルマやバイクを披露するだけのコンテンツではありませんでした。それは、静的な所有に固執するのではなく、自由、進化、そして新しい情熱の追求を最優先する、ある種の生き方そのものを映し出すものでした。
欲しいものがあれば、今あるものを手放して前に進む。その潔いサイクルは、モノとの付き合い方だけでなく、私たちの人生における執着について、何か新しいヒントを与えてくれるかもしれません。
彼の素晴らしいコレクションと、その哲学をご自身の言葉で聞くために、ぜひ動画本編をご覧ください。あなたが自分の持ち物を見る目が、少し変わるかもしれません。

