「実用性ゼロ」の100年前のアメ車に1000万円を投じる理由。成功者が行き着く「戦略的不便」と「感性の差別化」とは

水島 翔/FXトレーダー

現代社会を支配しているのは、徹底した「効率至上主義」と「合理性」です。移動手段としての車を語るなら、燃費、安全性、静粛性、そして快適なエアコンは必須条件でしょう。しかし、その正反対に位置する、100年前の「鉄屑」とも呼べるヴィンテージカー「ホットロッド」に1000万円近い投資をする男たちがいます。

なぜ、すでに経済的成功を手にした者たちが、あえて「不便なもの」や「手のかかるもの」に惹かれるのでしょうか? そこには、単なる贅沢品への所有欲を超えた、人生の幸福度を最大化するための緻密なマインドセットが隠されています。FXトレーダーの水島翔氏と、滋賀県で圧倒的な存在感を放つレストランを経営する尚弥氏。二人の対談から見えてくるのは、効率の先にある「真の豊かさ」の正体です。

100年前の鉄に命を吹き込む「儀式」という名の贅沢

「ホットロッド」とは、1920年代のフォード・モデルT(T型フォード)などのフレームをベースに、エンジンや足回りをカスタマイズした究極の趣味車です。水島氏が目をつけたのは1923年製のフレームを持つ一台。パワーステアリングはなく、曲がるたびに「自力でハンドルを戻す」格闘が必要で、ウインカーの代わりに手信号を出すことすらある「実用性ゼロ」の乗り物です。

しかし、そこには現代車が決して提供できない「儀式的な魅力」が宿っています。 100年前のエンジンを自らの手で回して始動させる瞬間、剥き出しの鉄が震え、ガソリンの匂いが立ち込める。尚弥氏は単に日本で完成品を買うのではなく、ロサンゼルスへ直接足を運び、買い付けた車で現地のビーチ沿いを走らせるという「ストーリー」そのものを買おうとしています。

「単に物を買うだけじゃなくて、そういったねワクワクするような体験にお金を使いたいなと思ってて」

水島氏のこの言葉は、モノが溢れかえった現代において、真に希少なのは「五感を揺さぶる体験」であることを示唆しています。彼らにとって800万円、1000万円という金額は、車そのものの対価ではなく、その車と共に過ごす高揚感への投資なのです。

「ないなら作る」という渇望から生まれる圧倒的創造力

尚弥氏のビジネスの原点は、意外にも「地元・滋賀への不満」にありました。「お洒落をして行きたい場所が、地元に一つもない」。その現状を打破するために彼が取った行動は、150坪の巨大な倉庫を自ら改造し、理想のレストランを作り上げることでした。

300年前の巨大な丸太を日本中から探し出し、自らチェンソーで削り出してカウンターにする。溶接も塗装もステッカー貼りも、すべて自分たちの手で行う。この「狂気」とも言えるDIY精神は、単なる節約ではありません。 「自分が欲しい世界を、自分の手で具現化する」という純粋な創造力こそが、彼のビジネスの核となっているのです。現在、その経験は年間30店舗もの内装デザインを手掛ける事業へと昇華し、遊びのような情熱が莫大なキャッシュポイントを生み出しています。

二人は今、このエネルギーを富山へと向け、「日本一デカくてお洒落なレストラン」を作るという野心的なプロジェクトを始動させています。

「天才」と自称する覚悟と、仲間に頼る「ルフィ」の哲学

対談の中で最もスリリングなのは、尚弥氏の「天才宣言」です。彼は従業員に対し、「僕は天才だから、掃除や運転、支払いといった凡人でもできることはしない」と公言しています。一見すると傲慢に聞こえるこの言葉の裏には、実は計算された経営戦略と、プロフェッショナルとしての重い責任感が潜んでいます。

かつて彼は、一ヶ月だけ「何でも自分でこなす社長」を目指したことがありましたが、その効率の悪さと精神的疲弊に限界を感じ、即座にそれを捨てました。 あえて「天才」を自称し、自らを「実務においては無能」な状態に置く。すると、周囲のスタッフには「この人は自分たちが支えなければダメだ」という母性本能にも似た保護本能が芽生え、組織が活性化するのです。まさに漫画『ONE PIECE』のルフィのように、自分の弱さを開示し、仲間に全幅の信頼を寄せる。その代わり、自分は「結果を出す」というプレッシャーを背負い、クリエイティブな決断にのみ全霊を捧げる。この「覚悟」こそが、カリスマの正体です。

フェラーリの先にある「感性による差別化」というブルーオーシャン

興味深いのは、二人の間で行われた「価値観のクロスオーバー」です。水島氏は、フェラーリやランボルギーニといったスーパーカーの所有を経て、今はその「記号的な豊かさ」に飽きを感じています。一方で尚弥氏は、水島氏のフェラーリ488を譲り受ける予定だと言います。

これは、ステージによる「感性の進化」を物語っています。 高級ブランド品は、極論すれば「お金」さえあれば手に入ります。しかし、ヴィンテージカーやホットロッドの世界は、金銭だけでなく、深い知識、コネクション、そして何より「不便を楽しむ心の余裕」がなければ踏み込めません。 多くの人が結婚や家庭、世間の目を理由に諦めていく「男の夢」。その「捨てられた夢」を拾い上げ、独自の美学で磨き上げることは、ビジネスにおける強力な差別化、すなわち「ブルーオーシャン」での戦い方と同じなのです。

稼ぐよりも難しい「幸福度を高めるお金の使い方」

水島氏と尚弥氏が体現しているのは、「遊びの延長がそのまま仕事になる」という理想的なライフスタイルです。10年間のサラリーマン生活で世間の不満や欲望を肌で感じてきた水島氏だからこそ、彼が全力で遊ぶ姿は同世代の心を激しく揺さぶります。

「おカネは稼ぐよりも使うほうが非常に難しいと思ってます。稼ぐっていうとこよりも使い方によって、その幸福度をどう高めるかっていうのがね、決まってくると思う」

この言葉は、資産形成の最終目的が「数字を増やすこと」ではなく、「人生の質を向上させること」にあると教えてくれます。稼ぐ技術を磨くのはプロとして当然。その先で、どう美しく、どうワクワクしながら使うか。その「使い方」のセンスこそが、これからのリーダーに求められる資質です。

おわりに

水島氏と尚弥氏が富山で進めているプロジェクトは、単なる店舗開発ではありません。それは、大人たちが失いかけた「純粋なワクワク」を取り戻すための壮大な実験場です。富山でのオープニングイベントでは、なんと「ホットロッドのプレゼント抽選会」という破天荒な企画まで浮上しています。

効率やコスパばかりを追い求め、心が枯渇してはいないでしょうか。あなたにとっての「幸福度を最大化するお金の使い方」とは何か、今一度問いかけてみてください。

彼らが100年前のエンジンを回し、新たな景色を見に行く姿は、動画の全編で確認できます。その圧倒的な熱量に触れたとき、あなたの人生の「価値基準」が静かに、しかし劇的に変わるはずです。

動画の全編を視聴して、あなたにとってどの部分が最も心に響くか、ぜひ確かめてみてください。