はじめに
金融市場で突如として起こる急激な価格変動に、戸惑いを覚えた経験はないでしょうか。最近のドル円相場もその一つです。110円台で停滞していたかと思えば、一気に112円台まで急騰しました。この記事では、プロのFXアナリストによる解説動画をもとに、この不可解な動きの背景と、トレーダーがこの「不気味な」相場にどう向き合うべきかを、テクニカルな視点から紐解いていきます。
「理由なき上昇」の正体
動画で指摘されている最初のポイントは、110円近辺で膠着していたドル円が、突如として112円台まで急騰したという事実です。しかし、最も注目すべきは、この急騰を説明できる明確なニュースやファンダメンタルズ上の材料が見当たらないという点です。アナリストは、様々な情報を調査した上で、次のように結論付けています。
あまりニュースであるとかファンダメンタルズの材料は気にしてもですね、あまりよくわからない動きというところになってきます。
この「理由のわからない動き」こそが、現在の相場を読み解く上での出発点となります。
不確実な相場でプロが選ぶ「シンプルな道筋」
では、理由がわからない相場にどう立ち向かえばよいのでしょうか。アナリストが提唱するのは、無理に理由を探すのではなく、テクニカル分析に基づいた現実的なアプローチです。
まず長期的な視点では、長年上値を抑えてきた月足のトレンドラインを明確に上方ブレイクしたことを指摘。これにより、相場の大きな流れが上向きに転換した可能性を示唆し、次の目標として114円という大きな節目を視野に入れています。
この大きな流れを前提に、具体的な短期戦略として掲げるのが「押し目買い」です。ただし、それは闇雲に買うことではありません。アナリストは「日足の水平線ブレイクの後、4時間足の20期間移動平均線(20EMA)近くまで価格が調整したところを狙う」という、明確なエントリーパターンを提示します。不確実な状況だからこそ、このような再現性の高いシンプルな手法が道筋を示してくれるのです。
トレードに関してはテクニカルの自然の流れに沿ってトレードを行っていく。
ドル高を軸に見る、来週のトレード戦略
今回の分析で一貫しているテーマは「ドル高」です。この大きな流れを軸に、アナリストは「明確なトレンド」と「綺麗な水平線」という基準で厳選した、来週のトレード戦略を3つ挙げています。
- ドル円の買い狙い (Buy USD/JPY): 今回の主役であり、上昇の勢いを捉える最優先の選択肢。前述の通り、4時間足20EMAへの押し目を狙います。
- ユーロドルのショート狙い (Sell EUR/USD): 継続中の下降トレンドとドル高の流れに沿ったトレード。日足の20期間移動平均線(20MA)やフィボナッチリトレースメントへの戻りを待って、最適なショートエントリーを探ります。
- 豪ドル米ドルのショート狙い (Sell AUD/USD): 重要サポートラインを割り込み、新たな下降トレンドが発生。ドル円と同様のロジックで、4時間足20EMAへの戻りを売る戦略が有効です。
これらはすべて「ドル高」という一つのテーマで繋がっており、一貫性のある戦略を立てることが可能になります。
「トレードしない」という冷静な判断
一方で、アナリストの分析が真価を発揮するのは、積極的に取引を推奨しない「様子見」の判断です。その好例がユーロ円です。
先週、アナリストはユーロ円の下降トレンドと水平線ブレイクを根拠にショートを推奨し、実際に**+32.1pipsの利益**を上げています。しかし今週、その後の反発が下降トレンドの構造を崩したため、「今はトレードを見送るべき」と判断を切り替えました。これは、一度成功した戦略に固執せず、市場の変化に応じて冷静にポジションを調整するプロの規律を示しています。
同様に、ポンドドルはレンジ相場で方向感がなく、豪ドル円も明確な形が見えないため、取引対象から外されています。トレードにおいて「いつ仕掛けるか」と同じくらい、「いつ手を出さないか」が重要であるという、プロフェッショナルな視点がここにあります。
おわりに
明確な材料がない中でドル高が進む市場は、確かに「不気味」な様相を呈します。しかし、そのような時こそ、ファンダメンタルズに振り回されず、テクニカル分析という規律に基づいたアプローチが明確な道筋を示してくれます。今回の分析は、不確実な相場を乗り切るための、再現性のある戦略の重要性を改めて教えてくれる内容でした。
動画で語られるプロの視点に、ぜひ触れてみてください。

