はじめに
毎日チャートと向き合っていると、無数のインジケーターやラインに囲まれ、「一体、今は買いなのか、売りなのか…」と判断に迷ってしまうことはないでしょうか。複雑な分析は、時に私たちを「分析麻痺(アナリシス・パラリシス)」に陥らせ、自信を持ったエントリーを妨げます。
もし、あなたがそんな悩みを抱えているなら、YouTubeチャンネル「FXゴールドナビ」で紹介されている、驚くほどシンプルな分析法が解決の糸口になるかもしれません。このチャンネルでは以前、ローソク足と移動平均線を使った王道的な環境認識の方法が紹介されていましたが、今回はそれとは別のアプローチ。より視覚的なわかりやすさを求めるトレーダーに向けた、強力な代替案です。
この記事では、同動画で解説されている「平均足」と「一目均衡表の雲」を組み合わせた分析法を深掘りします。この手法は全くのオリジナルというわけではなく、書籍や市販のツールでも見られる実績のある考え方です。その目的は、日々の環境認識を直感的かつ視覚的に明確にすること。複雑な分析から解放され、トレンドを「一目」で捉える感覚を体験してみましょう。
ローソク足の「ノイズ」から解放される、平均足という選択肢
多くのトレーダーが慣れ親しんでいる通常のローソク足は、価格の動きをダイレクトに反映するため、明確なトレンドの最中でも陽線と陰線が入り混じり、判断を迷わせることがあります。
この「ノイズ」を減らし、トレンドの流れを滑らかに表示してくれるのが「平均足」です。動画で解説されている通り、平均足の最大の特徴は、トレンドが発生している間、同じ色が連続しやすいという点にあります。
- 上昇トレンドでは陽線が連続しやすい
- 下降トレンドでは陰線が連続しやすい
これにより、チャートを見た瞬間に「今、相場はどちらの方向に進んでいるのか」「トレンドの勢いは継続しているのか」を視覚的に、そして直感的に把握できます。
ただし、このシンプルさにはトレードオフが伴います。平均足を使うと、ローソク足の実体やヒゲの形から相場心理を読み解く**「プライスアクション分析」や、特定のローソク足パターン(例:包み足、ピンバーなど)は使えなくなります**。この点は、この手法を採用する上で理解しておくべき重要なデメリットです。
トレンドの「壁」と「道筋」を示す、一目均衡表の「雲」
この分析法のもう一つの主役が、「一目均衡表」です。ただし、転換線や基準線など全ての要素を使うわけではありません。動画が焦点を当てているのは、その名の通り「雲」と呼ばれる部分のみです。
この「雲」には、主に2つの重要な機能があります。
- 動的なサポート・レジスタンス帯として機能する「壁」 雲は、しばしば価格の動きを押しとどめる「壁」のような役割を果たします。価格が雲に近づくと反発したり、雲の中で揉み合ったりする傾向があり、重要な支持帯・抵抗帯として機能します。
- 強いモメンタムを示すシグナル 価格がこの分厚い「壁」である雲を明確に上抜け、または下抜けしたとき、それは強いトレンドが発生したサインとなります。
つまり、雲は価格が動きやすい「道筋」と、動きにくい「壁」をチャート上に描き出してくれる、強力なコンテキストツールなのです。ソース動画では、この手法が特に日足や4時間足といった長期足で非常に機能しやすいと強調されています。
「雲の上下」と「色」だけ。驚くほど明確なトレード方針
平均足と雲、それぞれの役割を理解したところで、いよいよこの2つを組み合わせた具体的なトレード方針を見ていきましょう。この手法の目的は、日々のトレードの方向性を決める「環境認識」を明確にすることにあります。
ルールは驚くほどシンプルです。
- ロング(買い)シナリオ: 平均足が雲の上にあり、その色が陽線である場合。明確な上昇トレンドと判断し、買い場を探す方針を立てます。
- **ただし、**上昇中に一時的に陰線が出現した場合は「一旦待つ」のが賢明です。再度、陽線が出現したタイミングで、改めて買い場を探し始めます。
- ショート(売り)シナリオ: 平均足が雲の下にあり、その色が陰線である場合。明確な下降トレンドと判断し、売り場を探す方針を立てます。
- **同様に、**下降中に一時的に陽線が出現した場合は様子見とし、再度、陰線が出現するのを待ってから売り場を探します。
このルールの核心をまとめると、以下のようになります。
雲の上で陽線が続くうちは、上昇トレンドが継続しやすいと見てロングを狙う。逆に、雲の下で陰線が続くうちは、下降トレンドが継続しやすいと見てショートを狙う。
この「雲の上下」と「平均足の色」という2つの条件だけで判断するロジックが、なぜこれほど効果的なのでしょうか。それは、分析から曖昧さを徹底的に排除してくれるからです。「上がるかもしれないし、下がるかもしれない」といった迷いを断ち切り、「今は買い方針」「今は売り方針」という明確な軸を与えてくれるため、トレーダーは自信を持って次の戦略を立てることができるのです。
日足分析を具体的なトレード戦略へ応用する
この日足・4時間足での環境認識は、それ自体がゴールではありません。ここから得られた明確な方向性を、より短期のトレード戦略に活かすことで真価を発揮します。
1. マルチタイムフレーム分析への応用 日足で「買い方針」という環境認識が固まったら、次に4時間足や1時間足といった短期足に切り替えます。そして、その短期足で具体的なエントリータイミングを探します。例えば、押し目買いのチャンスや、短期的なレジスタンスラインのブレイクアウトなどを狙っていくのです。この方法により、長期足の大きな流れに乗りつつ、短期足で損切り幅を抑えた精密なエントリーが可能になります。
2. スイングトレードのルールとしての応用 このロジックは、そのままスイングトレードのルールとしても非常に強力です。例えば、「平均足の実体が明確に雲を抜け、陽線が確定したところで買いエントリー。その後、陰線が連続するなどトレンド転換の兆しが見えるまでポジションを保有する」といったシンプルなルールを構築できます。年に数回発生する大きなトレンドを捉えることができれば、それだけで大きな利益を期待できるでしょう。
もちろん万能ではない。レンジ相場との向き合い方
どんな優れたトレンドフォロー戦略にも、苦手な相場環境は存在します。この手法が最も機能しにくいのは、方向感のない「レンジ相場(横ばい)」です。
では、相場がレンジに入ったことをどう判断し、どう対処すればよいのでしょうか。動画では、そのための実用的なアドバイスが示されています。
- レンジ相場のサイン: ルール通りにエントリーしても、連続して小さな損切りにかかるようになったら、それは相場がレンジに移行した可能性が高いサインです。
- レンジでの対処法: 平均足の高値・安値を使い、水平なサポートラインとレジスタンスライン(水平線)を引きます。
- 次のアクション: その後、トレンドフォロー戦略は一旦停止し、価格がその水平線を明確にブレイクするのを待ちます。ブレイクアウトを確認してから、再びトレンドフォローを再開します。
この対処法を知っておくことで、この手法は単なる硬直したルールではなく、相場の状況変化に対応できる、より堅牢な分析フレームワークとなります。
おわりに
今回ご紹介した「平均足」と「一目均衡表の雲」を組み合わせた分析法。その最大のメリットは、日々の環境認識を誰でも実践できるほどシンプルで、視覚的にわかりやすく、再現性が高い点にあります。
さらに、複数の通貨ペアのチャートにこの設定を適用すれば、どの通貨ペアが今最も強いトレンドにあるのかを「一目」で判断できます。これにより、その日の取引で最も有望な市場を効率的に見つけ出すことができるのです。
複雑な分析に時間を費やすあまり、エントリーチャンスを逃したり、自信を失ったりしていませんか?
一度、ご自身の分析方法をシンプルにすることが、トレード心理にどのような良い影響を与えるか、考えてみてはいかがでしょうか。この手法は、そのための強力な第一歩となるかもしれません。
動画の全編を見て、この分析法がご自身のトレードにどう活かせるか、ぜひ確かめてみてください。

