はじめに
2020年前半の金融市場、特に為替相場は、多くのトレーダーにとって混乱と予測不能の連続だったのではないでしょうか。しかし、急騰と急落が繰り返されるパターンレスな相場の中、プロのトレーダーはどのようにして優位性を見出していたのでしょう?混沌とした状況下でも、彼らは冷静にチャートを分析し、そこから普遍的な教訓を導き出していました。
この記事では、あるプロトレーダーが2020年のドル円(USD/JPY)とユーロドル(EUR/USD)相場を振り返った動画の内容を基に、その分析のエッセンスを解説します。ダウ理論や水平線といった古典的なテクニカル分析ツールだけを使い、あの劇的な価格変動の「なぜ」を解き明かす「過去検証」です。これは、教科書的なパターンが通用しない相場でこそ、本質的な分析がいかに力を持つかを知る絶好の機会となるでしょう。
教科書が通用しなかった「V字回復」の衝撃
2020年初頭の相場を最も特徴づけていたのは、3月にドル円で見られた約1000 pipsの急落と、その直後の劇的なV字回復でした。動画の解説者は、この異例の動きをこう振り返ります。
この動きは非常に難しかったですね。こうした1000 pips 落ちて1000 pips すぐに回復するという急激の動きが3月に起きていまして…
通常、大きなトレンド転換の際には、ダブルトップやトリプルトップといったチャートパターンが形成され、トレーダーにとっての分かりやすいサインとなります。しかし、2020年の相場では「トレンド転換を示すような綺麗なパターンがあまり出ていない印象」であり、突然上げたり下げたりする展開が続きました。
この洞察が示すのは、市場は常に定石通りに動くとは限らないという厳しい現実です。トレーダーは、教科書から一歩踏み出し、予期せぬ動きにも対応できる本質的な視点を持たなければならないのです。
「本物のブレイク」を見抜く、たった一つのシンプルな視点
では、パターンが少ない相場で、プロはどのようにして信頼性の高いエントリーポイントを見つけるのでしょうか。動画では、本物のブレイクアウトと「騙し」を区別するための、極めてシンプルかつ強力な視点が紹介されています。
その基準とは、**「重要な水平線をブレイクする際に、大陽線や大陰線といった大きなローソク足が出現しているか」**です。
なぜこれが重要なのでしょうか。解説によれば、大きなローソク足は、その価格帯に設定されていた多くの損切り(ストップロス)注文を巻き込んで価格が動いたことの証左です。多くの損切りを巻き込んだ動きは勢いがつきやすく、その後のトレンドが継続する可能性が高い「信頼できるブレイク」と判断できるのです。これは、読者がすぐに自身のトレードに応用できる、非常に実践的な知見と言えるでしょう。
「終わりのサイン」はどこに現れたか?ダウ理論でトレンドの崩壊を読む
どんなに強いトレンドにも、いつかは終わりが訪れます。ドル円の急落トレンドが終わる際、チャートにはどのようなサインが現れていたのでしょうか。動画では、ダウ理論を用いてその転換点を鮮やかに読み解いています。
下降トレンドの終焉を示唆したシグナルは、以下の通りでした。
- 価格がそれまでの最安値を更新できなくなった。
- 安値が切り上がり始めた。
- そして、直前の高値を上抜いた。
これらの動きが重なったことで、それまで続いてきた下降トレンドの構造が「完全に崩れてしまっている」と判断できます。さらに、決定的な証拠として、重要な週足のレジスタンスラインを明確に上へブレイクしたことも指摘されています。この動きによって、下降トレンドの継続は「完全に否定された」のです。
これは、ダウ理論という古典的な分析手法が、いかに混沌とした相場においても秩序を見出し、複数の根拠を重ね合わせることで重要な転換点を特定するのに役立つかを示す好例です。
結論ではなく、次の一歩へ
2020年の相場が非常に難易度の高いものであったことは間違いありません。しかし、だからこそ、 disciplined な「検証」から得られる学びは計り知れないものがあります。今回ご紹介した分析は、単なる市場の振り返りではなく、パターンレスな相場においても古典的な原則がいかに有効かを示す、普遍的な教訓に満ちています。
紹介した動画では、実際のチャートのどのポイントで仕掛け、どこで損切りを考えるべきか、より具体的な思考プロセスを追体験できます。ぜひ、ご自身の目で確かめてみてください。

