はじめに
その日は、予期せぬ「運命」から始まりました。大雪の影響で富山へ向かう特急「サンダーバード」が運休となり、図らずも東京に留まることになった誕生日。宿泊先の「東京エディション虎ノ門」で案内されたのは、最上級のプレミアスイートへのアップグレードでした。眼下に広がる雪化粧の東京を眺めながら、私は40歳という節目にふさわしい「自分への投資」を決意したのです。
今回の目的は、単なる懐古趣味ではありません。人生の折返し地点で、かつて憧れた「機械仕掛けの芸術」を資産として、そしてライフスタイルの一部として迎え入れること。なぜ成熟した大人の男性たちが、最新のスーパーカーの傍らに、手のかかるヴィンテージバイクを並べるのか。内燃機関の遺産を巡る、1,500万円の買い付け旅が幕を開けます。
出会いと決断が交差するヴィンテージバイクの聖地
訪れたのは、東京・八王子にある旧車界の総本山「ウエマツ」。店内に一歩足を踏み入れれば、そこはもはやバイクショップの域を超えた「ミュージアム」です。時価800万円を超える砂型鋳造のCB750など、数億単位の在庫が整然と並ぶ光景は、さながら「モーターサイクルのニトリ」と呼べるほどの圧倒的なスケール感を誇ります。
膨大な選択肢を前にしても、一流の投資家がそうであるように、私の基準は明確です。
買い物はね、出会いと決断だから。
直感に刺さる個体があるか、その瞬間に未来のガレージが想像できるか。数多の名車を「目利き」し、運命の一台を手繰り寄せるプロセスそのものが、大人の遊びにおける至高の贅沢なのです。
憧れと再会がもたらす「資産」としての至福
展示車両を巡る中で、私の視線はある一台に釘付けになりました。16歳の頃、わずか25万円ほどで手に入れていた「CBX400F」。しかし、目の前にある個体のプライスタグは630万円。実に25倍もの価値を纏ったその姿は、単なる乗り物を超え、堅実な「有形資産」へと変貌を遂げていました。
また、40代という節目に強く意識したのは「バースイヤー・マシン」との縁です。1984年生まれの私にとって、同年代の空気を感じさせる1983年や84年式のモデルには、特別な親近感を抱かずにはいられません。
特に「CB400four(ヨンフォア)」の初期型に出会った時の衝撃は格別でした。発売直後に登録された希少な個体を、そのままフルノーマルで「文化遺産」として保存するのか、あるいは自分だけの一台に仕立てるのか。資産価値の維持と個人的な嗜好の間で揺れ動く葛藤は、審美眼を試される心地よい試練です。
フェラーリの美学をバイクに宿す、同期の愉悦
バイク選びが進む中で、私は一つの独創的な構想を練り上げました。所有するフェラーリの純正色「ビアンコ・チェルヴィ」を、バイクのペイントに採用するというアイデアです。
「旧車はオリジナルであるべき」という固定観念を脱ぎ捨て、自身のライフスタイルや他の愛車と色をリンクさせる。これこそが、ルールに縛られない大人の余裕です。
細かいところを変えつつ、色をリンクさせていくようなイメージでやっていきたい。
例えば、プラグコードやキャップにフェラーリのロゴを彷彿とさせるイエローのアクセントを加える。愛車たちが一つのガレージで視覚的に同期(シンクロ)する景色。そんな「ライフスタイルとの調和」を追求するカスタムこそが、知的な大人の遊び方といえるでしょう。
1,500万円の決断と、40代という新たな旅立ち
この日、私が下した決断は、同行したスタッフをも驚かせるものでした。
- Kawasaki Z1「イエローボール」(自身のラッキーカラーとの出会い)
- Kawasaki Z1000R-2「ローソンレプリカ」(本物の風格を纏うJ系マシン)
- Honda CB400four(フェラーリ・カラーへ昇華させるベースマシン)
驚くべきは、その決断のスピードです。整備やカスタム費用を含め、総額は約1,500万円。しかし、その場の空気はまるで「スニーカーをまとめ買いする」かのような軽やかさに満ちていました。
納車までの4ヶ月という時間は、雪解けを待つ時間に似ています。春になり、自分への誕生日プレゼントがガレージに並ぶ頃、私の40代はより鮮やかな色彩を放ち始めるはずです。
おわりに
40歳という節目に、妥協なく夢を具現化する姿。それは、単なる消費ではなく、人生の質を高めるための「感性への投資」に他なりません。手に入れるまでのドラマ、手に入れた後の未来。そのすべてを能動的に愉しむ姿勢こそが、人生を豊かにする真理であることを、今回の買い付けが証明してくれました。
今後、これら3台がどのようなカスタムを経て、私のガレージという名のギャラリーを彩るのか。納車後の展開にもぜひご期待ください。
フル動画を視聴して、あなたならどの1台を選び、どんな「資産」をガレージに迎えたいか。その熱量をぜひ体感してみてください。

