はじめに
深夜1時。静まり返った街とは対照的に、チャート上では巨額の資金が交錯し、一瞬の判断が天国と地獄を分かつ「ニューヨーク市場」が熱を帯びています。この緊張感溢れる時間帯に、プロフェッショナルトレーダー・水島翔氏が敢えて公開したのは、華々しい勝利ではなく「負けトレード」の全貌でした。
「FXのプロは、荒れ狂う相場の中で何を思考の拠り所にしているのか?」
読者が抱くこの根源的な問いに対し、水島氏は手法の紹介を超えた、極めて純度の高い「意思決定のプロセス」を提示します。本記事では、彼がどのように市場を解釈し、なぜ迷いなく敗北を受け入れたのか、その知的言語化を試みます。
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市場の特性を解剖する:戦略的「時間帯」の選択
FXにおいて「どの時間帯で戦うか」は、単なるスケジュールの問題ではなく、生存確率を左右する戦略的決定です。水島氏は、東京・欧州・ニューヨークという3つの主要市場の性質を鋭く使い分けています。
- 東京市場: ボラティリティ(値幅)は緩やかですが、テクニカル分析が機能しやすく、価格推移を冷静に観察できるのが特徴です。
- ニューヨーク市場: 激しい値動きと共に、テクニカルを一時的に無視したような「ノイズ」が頻発します。
水島氏は、特に初心者に対して次のような見解を示しています。
「実際ね、初心者の方には僕は東京市場をお勧めしてます。……そのテクニカルが機能しやすく割とね、落ち着いて見ていられるので」
プロであっても、ボラティリティが「スクイーズ(凝縮)」した後の転換や、市場の切り替わりに伴うノイズには細心の注意を払います。自身のロジックが最も機能する市場を選択すること、それがトレードにおける最初の一手となります。
「なんとなく」を排除する:トレンドラインの厳格な定義
トレードを主観的・感情的なバイアスから切り離すには、自分なりの「明確な定規」が必要です。水島氏がエントリーのトリガーとするトレンドラインには、極めて厳格な定義が存在します。
- トレンドラインの定義: 前回の高値を明確に更新し、かつ「安値の切り上げ」と「高値の切り上げ」が継続して発生していること。
水島氏は5分足でのエントリーに際し、日足・4時間足・1時間足という「上位足」の環境認識を徹底しています。当時は150ピップスもの急上昇を演じた後の「4時間足レベルのレンジ」内にあり、日足・週足レベルの重要なレジスタンスに肉薄していました。
「ここをブレイクすれば、巨大な値幅(伸び代)が期待できる」 「落ちた時に買われる勢いも強い」
こうした上位足の文脈と下位足のリズムが合致した瞬間、彼は買いポジションを持ちました。それは「なんとなく」の推測ではなく、上位足のレンジブレイクを狙った、期待値に基づく戦術的な一撃だったのです。
規律ある撤退:5分足の「確定」が告げる根拠の崩壊
今回のトレードの核心は、エントリー直後の潔い「損切り」にあります。買いポジションを持った直後、相場はトレンドラインを下方へ割り込みました。この時、水島氏が取った行動は「5分足の終値がラインを割って確定するのを待ち、即座に決済する」というものでした。
ヒゲで惑わされることなく、ローソク足の「確定」をもって判断を下す。この数秒、数分の規律がプロとアマを分かちます。
「このトレンドラインをトリガーにしたエントリーっていうのは根拠が崩れてるんで、ここで切っちゃいます」
「いつか戻るだろう」という淡い期待は、プロの思考回路には存在しません。エントリーの根拠としたトレンドラインが機能しなくなった以上、その場に留まる理由は皆無だからです。ロジックの崩壊は、すなわちゲームセットを意味します。
究極の生存戦略:リスクリワードの非対称性を突く
結果として、このトレードは「約1.2〜2ピップス以下」という、目を見張るほどの微損で幕を閉じました。ここで注目すべきは、負けた金額ではなく、その「負け方」に宿る圧倒的な期待値の高さです。
- リスク(損失): トレンドライン割れ確定までのわずか2ピップス未満。
- リワード(利益): 上位足のレジスタンスを突破した際に得られる数十〜百ピップス以上の利益。
この**「期待値に基づいた規律ある撤退」**を繰り返せるかどうかが、長期的な生存を決定づけます。たとえ勝率が低くとも、リスクを極限まで抑え、リワードが最大化されるポイントを叩き続ける。負けトレードの公開こそが視聴者にとって最大の学びとなるのは、それが「負けをコントロールする技術」という、相場の真理を体現しているからです。
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おわりに
FXの正体とは、未来の予測ではなく、絶え間ない「準備と対応」の連続に他なりません。どれほど精緻な分析を行っても、ニューヨーク市場のノイズは容赦なく牙を剥きます。しかし、明確な定義を持ち、根拠が崩れた瞬間に感情を排して対応できる者だけが、最後に生き残る権利を手にします。
水島氏が見せた、電光石火の判断。それは負けを「失敗」と捉えるのではなく、次なる勝利への「経費」として処理するプロの風格そのものでした。
ぜひ動画を最後まで視聴し、その空気感や判断のスピードを体感してみてください。どのシーンが一番あなたの心に響いたか、それこそが今のあなたに必要な「気づき」かもしれません。

