成功を「執着」で終わらせない。フェラーリ488GTBを手放すFXトレーダーの冷徹かつ情熱的な資産論

水島 翔/FXトレーダー

多くのビジネスパーソンにとって、跳ね馬のエンブレムを冠したフェラーリは「いつか辿り着きたい成功の象徴」でしょう。しかし、その夢を具現化した先で、自らの意思でその「証」を手放す決断ができる人はどれほどいるでしょうか。

今回スポットを当てるのは、脱サラという大きな転換期を経て、自らの力でフェラーリオーナーの座を掴み取った一人の投資家。彼が、人生初のフェラーリであり、深い思い入れのある「488GTB」を解き放つ決断を下しました。

一見、成功の証を失うかのようなこの行動。しかしその背景には、FXトレーダーらしい冷静な市場分析に基づく「エグジット戦略」と、過去の栄光を軽やかに更新し続ける洗練されたマインドセットが隠されています。本稿では、彼がなぜ今、愛車を次のオーナーへと託すのか。その理由を通じて、人生を投資として捉え、循環させるための本質的な哲学を紐解きます。

脱サラの夢を形にした「始まりの1台」への深い感謝

このフェラーリ 488GTBは、彼にとって単なる移動手段としてのラグジュアリーカーではありません。「サラリーマンという組織の枠を飛び出し、個の力で実績を築き上げた」という揺るぎない事実を証明する、いわば勲章のような存在でした。

実はこの488GTB、本来欲しかった「F8スパイダー」の納車に2年を要することから、その期間を埋めるための「運命的な出会い」として手に入れた個体でした。しかし、その完成度の高さから、結果的にF8が納車された後も手放さず、2台持ちという形で慈しんできたといいます。

「元サラリーマンがフェラーリを買えるっていう実績を作れたし、これで勇気をもらえた人たくさんいると思うんだよね」

彼がそう語るように、この車は彼自身の成功を象徴するだけでなく、同じように理想を追う視聴者にとっても、人生を変えられるという希望の灯火となっていたのです。

投資家としての冷徹な「出口戦略」とディーラー戦略

感情的な愛着が深い一方で、売却のタイミングについては極めて戦略的です。ここには、日々相場と向き合うFXトレーダーならではの「リファレンスポイント(基準点)」を用いた資産管理術が反映されています。

フェラーリという稀有な資産は、市場環境によって価値が変動します。一時は価格が下落したものの、現在はテクニカル的な反発を見せ、諸経費を差し引いても利益が出る、あるいはトントンで抜けられる水準まで戻ってきました。この「資産の流動性」を確保する判断は、感情に流されない投資家の真骨頂と言えます。

さらに驚くべきは、その先を見据えた「ディーラー戦略」です。 「フェラーリを乗り継ぐ」という行為は、単なる趣味ではありません。複数のモデルを所有し、定期的に入れ替えていくことで、メーカーやディーラーとの信頼関係を構築し、将来的に「限定モデル」のオファーを勝ち取るための布石でもあるのです。1台を手放すことは、より希少価値の高い資産へのアクセス権を得るための、高度な投資的アプローチなのです。

488GTBの官能性と、オーナーだけが知る「ベタつき」のリアリティ

3年間の月日を共にしたオーナーだからこそ語れる、488GTBのディテールは実に鮮やかです。 「ビアンコ・フジ」と名付けられたパールホワイトの塗装は、光を吸い込み、真珠のような高貴な輝きを放ちます。また、ダウンサイジングターボへと進化したこのモデル特有の官能性について、彼は情熱的に語ります。

「踏み込んだ時のその過給機が動き出した時のタービンの音とかがすごくいい感じなんだよね。僕は結構好き」

静寂性が増した最新のF8とは対照的に、488GTBが奏でる吸気音と咆哮の混ざり合いは、ドライバーの感性を激しく揺さぶります。 一方で、オーナーにしか分からない苦労話も明かされました。フェラーリの持病とも言える「内装ボタンのベタつき」です。4,000万円を超える芸術品であっても、避けては通れない経年変化という「人間臭い」欠点。こうしたリアリティに触れることで、情報の信頼性と、真の意味でこの車と向き合ってきた深みが伝わってきます。

過去に囚われず「理想のガレージ」を追求する未来志向

彼にとって、この1台との別れは「喪失」ではなく、より壮大な未来への「通過点」に過ぎません。 すでに視線は、次なるステージへと向いています。V12エンジンを積んだ「812シリーズ」や、最新の「レブエルト」、そして現在建設中の第2ガレージへと。

現在のガレージは、愛するバイク12台を並べるための専用ピットへと改装され、新たに誕生するガレージには、注文済みのV12スポーツモデル「プロサングエ」が収まる予定だといいます。物や過去の成功に固執せず、常に人生をアップデートし続けるために、あえて思い出の品を手放す。その「所有からの脱却」こそが、新しい豊かさを呼び込むためのスペースを作るのです。

「思い出は消えるわけでもない。未来を見ていくっていう意味では、過去には囚われないように。通過点ですからね」

この言葉は、現状に安住せず、常に未踏の景色を追い求める挑戦者としての、強固なマインドセットを象徴しています。

おわりに

脱サラから始まった挑戦がフェラーリ所有という夢を結実させ、そして今、さらなる高みを目指してその象徴を手放す。彼のストーリーは、圧倒的な行動力と、変化を厭わない柔軟な精神の重要性を教えてくれます。

愛車との別れを前に、自らの手で丁寧に洗車し、感謝を伝えるその姿。成功の証を手放す瞬間の清々しさは、彼がすでに「過去の自分」を超え、次の目的地を見据えているからに他なりません。

動画では、旅立ちの朝に磨き上げられた488GTBの神々しい姿と、その最後の咆哮を聴くことができます。ぜひその映像を通じて、あなたにとっての「人生の通過点」とは何か、知的かつ情熱的に思考を巡らせてみてください。

フル動画を視聴して、あなたにとっての「人生の通過点」とは何か、ぜひ考えてみてください。