420万円の「ヨンフォア」納車日に起きた、誰も予想しなかった結末

水島 翔/FXトレーダー

はじめに

何ヶ月にもわたる期待と想像。ついに夢にまで見たカスタムバイクが届けられる日、その高揚感はバイク乗りなら誰しもが共感できるものだろう。今回、オーナーである水島 翔の元に届けられたのは、伝説的な名車ホンダCB400FOUR、通称「ヨンフォア」。しかし、これはただのヨンフォアではない。総額420万円という驚異的な費用が投じられ、細部にまでこだわり抜かれた世界に一台のマシンだ。

水島は完成した実物を一度も見ていない。ブログで製作過程を垣間見ただけで、「むしろ写真も見てない」というのだから、その期待感は計り知れない。待ちに待った納車日、そのクライマックスで起こった誰も予想しなかった出来事が、この日を忘れられない物語へと変えた。

こだわりが凝縮された、世界に一台の「翔費用」

このヨンフォアが特別な存在である理由は、その独創的なカスタムにある。まず目を引くのは、純白に輝くボディカラー。これは水島が最近まで所有していたフェラーリ488と同じ塗料「ビアンコ・フジ」が使用されている。個人的なヒストリーを投影した、唯一無二の選択だ。

シートにも並々ならぬこだわりが注がれた。素材には高級車にも採用されるアルカンターラを贅沢に使用し、ステッチの入れ方まで細かく指定。多くのヨンフォア乗りが漫画『特攻の拓』に登場する“マー坊”の「シンクのフォア(深紅のフォア)」に憧れ、赤いカスタムを目指す中、この一台は全く異なるアプローチをとった「完全オリジナル」仕様なのだ。

この挑戦的なカスタムは、水島のYouTubeチャンネルを通じて多くのバイク乗りに影響を与え、製作を担当したウエマツには新たな顧客からの問い合わせが殺到しているという。まさに、カルチャーに一石を投じた一台と言えるだろう。その成功について、ウエマツの担当者はこう語る。

このカラーの組み合わせ これが4フォアにま合うかちょっとドキドキしてたんですよけど バシっとはまってますよね

この言葉が、このバイクが単なる模倣ではない、新たな価値観を提示したカスタムであることを証明している。

見た目は旧車、中身は最新技術の結晶

1975〜76年式のクラシックな外観とは裏腹に、このヨンフォアの心臓部や神経系には最新の技術が惜しみなく投入されている。なぜなら、ヨンフォアは「回して面白いオートバイ」。その魅力を現代の道路環境で、安心して最大限に引き出すための選択だ。

エンジンの内部には、WPC加工済みのオーバーサイズピストンとICBBメッキ加工されたシリンダーを採用し、高回転まで回し続けても壊れない現代的な耐久性を獲得。電装系もメインハーネスから一新され、点火システムにはウオタニSP2フルトランジスタ点火を導入したことで信頼性が劇的に向上し、「ほぼメンテナンスフリー」な状態を実現している。

特に注目すべきは、吸排気のセッティングだ。抜けの良いヨシムラのマフラーは、それだけでは燃料の供給が追いつかない。「抜けが良すぎちゃってついてこれれない」状態を解消するため、強制的に燃料を送り込む加速ポンプ付きのFCRキャブレターを組み合わせている。これは、ヴィンテージバイクを最高のコンディションで楽しむための、計算され尽くした選択なのだ。

納車のクライマックスに訪れた、まさかの「ハプニング」

納車作業もいよいよ大詰め。担当者がオーナーに初めてのエンジン始動方法をレクチャーし、誰もが固唾を飲んでその瞬間を見守っていた。しかし、その緊張が最高潮に達した時、信じられない出来事が起こる。

担当者がスロットルを数回ひねった瞬間、「プチッ」という音とともにワイヤーが断裂。バイクは沈黙し、納車のセレモニーは突然の中断を余儀なくされた。このまさかの事態に、担当者も「FCRのワイヤーが切れたっての初めてですね」と驚きを隠せない。あまりにも稀なトラブルに、その場にいた誰もが言葉を失う。

しかし、そんな中でも水島はバイクを静かに眺め、こう呟いた。 「いや これ は で も かっこ いい よ かっこ いい こ おしゃれ だ よ ね おしゃれ」 トラブルの渦中にあっても、その美しさに見惚れるオーナーの姿が、このバイクへの深い愛情を物語っていた。

トラブルを「追いカスタム」の好機に変える

絶好の納車日が一転、予期せぬトラブルに見舞われた水島。だが、彼は落胆するどころか、この状況を新たなチャンスと捉えた。「どうせ一度持ち帰ってくれるなら」と、その場で追加のカスタム、通称「追いカスタム」を即座に依頼したのだ。

その内容は、ブリーザーホースを「ダークなブラック系のメッシュでエンドを黒の」スタイリッシュなものへ交換すること。そして、自慢のアルカンターラシートをより美しく見せるためにタンデムバーを取り外すこと。彼の頭の中では、すでに完成形の先の、さらなる理想像が描かれていた。

この前向きな姿勢は、今回のトラブルを単なる失敗ではなく、完璧な一台を仕上げるための「仮仕立て」と捉えているかのようだ。まるでビスポークスーツを仕立てるように、一度体に当ててみて、そこからさらに理想に近づけていく。これぞ、真のカスタム好きの思考法だろう。

おわりに

420万円のヨンフォア納車日に起きた予期せぬハプニング。この物語は、単なるバイクの納車記録ではない。一台のバイクに注がれた情熱と職人技、そしてトラブルさえも「追いカスタム」の好機に変えるポジティブなマインドが織りなす、珠玉のドキュメンタリーだ。思い通りにいかないからこそ、愛車との絆はより深く、特別なものになっていくのかもしれない。

この感動と興奮のジェットコースターのような一日を、ぜひ動画本編で体験してみてほしい。