はじめに
多くのトレーダーが「FXは9割が負ける」という言葉の重圧に苦しんでいます。複雑なインジケーターや無数の情報に惑わされ、一体どこを信じてトレードすれば良いのか分からなくなるのは、誰もが通る道かもしれません。
しかし、プロトレーダー水島翔氏のYouTube動画は、その混沌に一筋の光を投げかけてくれます。彼の秘密は、複雑な新手法ではありません。むしろ、チャート分析を徹底的に「簡略化」し、本当に重要な数本の水平線だけを見極め、それに基づいて行動する――あるいは、あえて行動しないという規律にありました。
今回は、水島氏が開発したツール「Catch the Wave」を題材にした動画から、多くのトレーダーが見落としているプロの思考法を紐解いていきます。
相場の「答え」が自動で描かれるツール
「Catch the Wave」の核心は、チャート上に極めて重要な水平線を自動で描画する機能にあります。これは当てずっぽうの線ではありません。ダウ理論に基づき、「トレンドの起点や終点、目線の転換点」といった、相場の構造を決定づけるレベルに引かれます。
具体的には、直近の最高値を作った**「起点となる水準」**や、過去に何度も意識された高値、そしてレジスタンスがサポートに転換した(レジサポ転換)場所など、熟練トレーダーなら誰もが監視している客観的な価格帯です。これらが自動で可視化されることで、分析の迷いが消え、相場の「答え」とも言える共通認識を瞬時に把握できるのです。水島氏も、これらの線の重要性をこう断言します。
このチャートでね テクニカル分析 を し てる 人 で あれ ば 誰 も が 意識 する 水準 だ と 思う ん です よ
つまり、このツールは相場参加者の心理が集中する場所を、明確に示してくれるのです。
初心者は「入口」を探し、プロは「出口」を極める
多くのトレーダーは「どこでエントリーするか」ばかりに心血を注ぎますが、プロはそれ以上に「どこで利益を確定するか」という出口戦略を重視します。このツールが示す水平線は、まさにそのための完璧な道しるべとなります。
動画では、下降トレンドを例に、非常に実践的な使い方が解説されていました。チャートの下方に、誰もが意識するであろう強力なサポートラインが見えている場合、欲張ってラインぴったりで決済するのではなく、その**「少し上」**に利益確定の注文を予め置いておくという戦略です。
これにより、サポートラインで価格が急反発して利益を取り逃すリスクを避け、着実に資金を積み上げる。これは感情を排し、チャートが示す客観的な「答え」に基づいた、プロならではの洗練されたリスク管理術と言えるでしょう。
最も重要なのは「トレードしない」という判断
この動画で最も衝撃的で、本質的な教えは、プロのトレーダーが持つ究極のスキルが「トレードをしない」という判断力であることでした。
水島氏は、週足レベルの重要な水平線(最高値の起点となった水準)の周辺で、価格が方向感なく揉み合っている現在の状況を指し示します。短期足だけを見れば、小さな上下動がチャンスに見えるかもしれません。しかし、長期的な視点で見れば、これは単なる予測不可能な**「ノイズ」**に過ぎないと断言します。
どちらに抜けるか分からない五分五分の状況では、ポジションを持たない。この鉄の規律こそが、無駄な損失を避け、長期的に勝ち残るトレーダーと「9割の負ける側」を分ける決定的な差なのです。彼のプロとしての本音が凝縮された、以下の言葉が全てを物語っています。
正直 こう いう 時 って あんま 触り たく ない ん です よ ね もう 方向 感 が 分かん ない
トレード技術とは、エントリーの技術だけでなく、規律を持って「見送る」技術でもあるのです。
週足の1本の線が持つ意味
では、なぜその水平線付近でのトレードを避けるべきなのでしょうか。その答えは、上位足のラインが持つ絶大な影響力にあります。
動画では過去のチャートを例に、ツールが週足に自動描画した一本の水平線が、サポートとして完璧に機能した場面が紹介されていました。価格はそのラインに到達した途端、ほぼ誤差なく反発し、結果として約300 pipsもの急騰を生み出していたのです。
この事実は、日足や4時間足の動きだけでなく、週足のような長期足の環境認識がいかに重要であるかを物語っています。この週足レベルで示された強力な支持線こそが、なぜプロがこれを利確の最終目標とし、そしてこのライン付近での方向感のない動きを「ノイズ」と判断して手を出さないのか、その理由を明確に物語っているのです。
おわりに
水島翔氏の動画から学べるプロの視点は、極めて実践的かつ本質的です。
- ダウ理論に基づき自動描画される水平線が、分析に圧倒的な「明確さ」をもたらすこと。
- 初心者が入口を探す中、プロはその水平線を「出口戦略」に活用すること。
- そして最も重要なスキルは、確率の低い相場では規律をもって「トレードしない」判断力であること。
これらは、日々のトレードですぐにでも意識できる、思考の転換点ではないでしょうか。
今回ご紹介したのは、動画の中のほんの一部のエッセンスに過ぎません。ぜひ、実際の動画をご覧になり、プロの分析をその目で確かめてみてください。あなたにとって最も響く発見が、そこにあるかもしれません。

