はじめに
成功の象徴といえば、ガレージに並ぶスーパーカーを思い浮かべるかもしれません。しかし、FXトレーディングで名を馳せた投資家・起業家の水島翔氏は、まったく違うゲームをプレイしています。それは、コンクリートと鉄骨で測られる、より壮大でスケールの大きなゲームです。彼のYouTubeチャンネルで公開された動画では、富やビジネス、そして個人の幸福観について、驚くほど深く、そして意外な視点が率直に語られていました。この記事では、成功と幸福に関する従来の価値観を揺さぶる、彼の会話から見えた重要な洞察を探ります。
「車よりビルが欲しい」という物欲の本質
水島氏が不動産に投資する動機は、単なる利益追求ではありません。その根底にあるのは「所有欲」、つまりコレクションを集める感覚に近いものだと彼は語ります。彼は、多くの車を所有することよりも、ビルを所有することの方が本質的に「かっこいい」という、挑発的とも言える考えを提示します。
いや ここ に ある の 全部 僕 の 車 だ よっ て いう の より も さ え あの ビル と あの ビル と あの ビル 僕 の だ よっ て いう 方 が かっこ よく ない
しかし、これは単なる見栄ではありません。かつて森ビルのような、所有者の名前が刻まれたビルを見て「ああいうのしたいな」と思ったという彼の夢は、極めて合理的な資産観に裏打ちされています。彼が求めているのは、ただのコレクションではなく、「お金を産んでくれるコレクション」です。
なぜ車ではなく不動産なのか。その答えは「手間をかけたくない」という彼の徹底した合理性にあります。レンタカー事業を始めるには、会社を設立し、スタッフを雇い、集客サイトを管理するなど、膨大な手間がかかります。一方で不動産は、購入してしまえば「管理会社に任せる」ことで、ほとんど手を煩わせることなく収益を生み出す受動的な資産となり得るのです。所有する喜び、個人的な野心、そして実利。そのすべてを叶えるのが、彼にとっての「ビル」なのです。
不動産投資の甘い話に潜む「ハイリスク・ローリターン」の罠
業界の甘い話に警鐘を鳴らす水島氏の視点は、不動産投資の熱狂に冷水を浴びせる、現実的な一撃です。特に初心者を対象としたワンルームマンション投資について、インタビュアーが「ハイリスク・ハイリターン」と口にすると、彼は即座に、しかし冷静にこう訂正します。「ハイリスク、ローリターンじゃない?」と。
彼が挙げるリスクは具体的です。経年による管理費の上昇、入居者がいなければ収入がゼロになる「0か100か」の不安定さ、そして一度購入すると買い手がつかず売却が困難な「出口がない」という致命的な問題。
また、多くの人が期待する「節税」効果についても、幻想だと一蹴します。例えば1億円の建物を購入しても、その年に1億円が経費になるわけではありません。RC造の建物なら耐用年数である47年にわたって少しずつ減価償却されるため、短期的な節税対策としては効果が薄いのです。これは、しばしば誇張されがちな不動産業界への、彼の地に足のついたビジネス感覚が光る指摘です。
「詐欺」を決めるのは自分自身である
彼の哲学の中で特に力強いのが、自己責任と学びに関する考え方です。水島氏は、過去に高額な対価を払ったサービスの内容が乏しいものだったとしても、それを「詐欺にあった」とは考えないと断言します。
例えば、彼はかつてネットビジネスを学ぶため、6ヶ月で50万円のコンサルティングを受けた経験を語ります。提供された情報そのものよりも、彼自身がチャットで大量の質問を投げかけ、能動的に関わったからこそ価値が生まれたと振り返ります。その核心にあるのは、どんな経験から得られる価値も、最終的には「受け取り手」次第で決まるという信念です。この主体的なマインドセットは、彼の次の言葉に集約されています。
自分 で その 払っ た 金額 以上 の もの を 必ず そっ から 回収 し て や るっていう 思い で 取り組む か どう か じゃ ない か な
自らが主体となり、支払った対価以上の価値を能動的に引き出すというこの姿勢は、ビジネスの領域をはるかに超えた、人生における強力な教訓と言えるでしょう。
成功の先にある「足るを知る」という幸福論
どんな状況からも価値を引き出すというこの姿勢は、絶え間ない野心を想像させます。しかし、だからこそ動画の終盤で彼が明かす胸の内は、より一層深く響きます。それは、より競争の激しい東京のような環境へ移ることへのためらいです。
彼は自身の性格を「負けず嫌い」だと自己分析しています。もし東京に移住すれば、周りにいる「桁違い」の成功者たちと自分を比較し、「張り合わなきゃ」という競争心に火がついてしまうだろう、と。それは更なるリスクを呼び込み、心の平穏を奪うかもしれない。だからこそ彼は、常に上を目指し続けるプレッシャーの中に身を置くのではなく、「足るを知る」という状態を意識的に維持したいと願うのです。
もっと 高み を 目指さ な きゃっ て なっ てく の が 嫌 な ん だ よ ね 正直
この視点は、絶え間ない成長を煽る現代の風潮への、静かながらも深遠なカウンターナラティブ(対抗言説)を提示します。成功の頂に近づきながらも心の平穏を重んじるその姿勢は、彼のメッセージに人間的な深みを与えています。
おわりに
水島翔氏の言葉は、富を「手間のかからない、お金を生むコレクション」と捉えるユニークな視点、どんな状況からも価値を引き出す強力な自己責任の哲学、そして成功の先で見出した「足るを知る」という幸福論まで、一本の線で繋がっています。
彼にとって、合理的な資産形成や主体的な学びは、無限の競争に身を投じるための武器ではありません。むしろ、心の平穏を保ち、満たされた状態(足るを知る)を維持するための手段なのです。この動画は、単に裕福なライフスタイルを垣間見るだけでなく、ビジネスと人生を深く考えるためのヒントに満ちています。彼の率直な会話の全貌を体験するために、ぜひ動画本編をご覧になることをお勧めします。

