はじめに
もし、SNSでふと呟いた「夢のクルマ」が、たった一本のダイレクトメッセージをきっかけに現実のものになるとしたら──。これは、そんな現代のおとぎ話のような実話だ。人気YouTuberの水島 翔氏が、自身のSNSで長年想いを馳せていた一台のクラシックカーについて語った。それは、彼が20代前半に所有していたシボレーC-10。単なる憧れではなく、自身の青春と深く結びついた特別なモデルだった。すると、一人の視聴者からDMが届く。「そのクルマ、ありますよ」と。この一通のメッセージは、彼を衝動的な奈良県橿原市への旅へと駆り立てた。これは、失われた時間を取り戻すかのような個人的な探求であり、情熱とデジタルな繋がりが紡いだ、特別な出会いの物語だ。
往復7時間、対面15分。即決に込めた情熱。
この取引の驚くべき点は、そのタイムスケジュールにある。ゴールデンウィークの混雑を避け、電車に揺られること片道3時間半から4時間半ほど。往復で7時間以上にも及ぶ長旅の末にたどり着いた奈良での対面時間は、わずか15分だった。現車を確認し、オーナーと少し言葉を交わしただけで、水島氏は購入を即決する。
長い移動時間は一つの賭けだったが、その答えは最初の15分で出た。目の前のC-10は、ひと目でわかるほど状態が良く、名古屋の有名ショップで整備されてきたという信頼の置ける経歴も持っていた。この圧倒的なクオリティが、迷いを不要にしたのだ。彼の研ぎ澄まされた直感は正しかった。この一台に特別な機会を見出した彼にとって、往復7時間の旅は、その価値を確かめるために必要な儀式に過ぎなかったのかもしれない。
出会いは必然。「縁」で繋がった個人売買の魅力
この物語の核心には、日本の美しい概念「縁(えん)」が存在する。水島氏は動画の中で、この出会いを運命的なものだと語る。今回の取引は、ディーラーを介さず、視聴者である西浦さんと直接やり取りをする「個人売買」。彼は、こうした人と人との繋がりから生まれるストーリーにこそ、面白さを感じている。
さらにこの「縁」を深めるのは、西浦氏もまた熱心な愛好家であるという事実だ。彼はこのC-10を手放し、さらに古い年式のモデルを手に入れるための資金にするという。これは単なる売買ではない。一台のクルマを介して、熱い想いが次のオーナーへと受け継がれていく「情熱のバトンパス」なのだ。
こればっかりは本当出合いすからね円だからな(「縁」の意)
共通の趣味を持つ者同士だからこそ、多くを語らずとも通じ合えるものがある。SNSというデジタルの糸が、必然とも思えるアナログな出会いを引き寄せたのだ。
極上のベース車両。購入の決め手となったC-10の状態
水島氏の心を射止めたのは、1977年式のシボレーC-10。年式を感じさせない、驚くほど良好なコンディションを保っていた。彼の計画するカスタムプロジェクトの「ベース車両」として、これ以上ない一台だったのだ。そのクオリティを裏付けるポイントはいくつもあった。
- 現オーナーの西浦氏が、わずか6ヶ月前に450万円で購入したばかりだった。
- 前後バンパーやラジエーター、エアコンのコンプレッサーといった主要パーツの多くが新品に交換済みだった。
- この年代のトラックにありがちなサビによる腐食や穴がなく、ボディのコンディションが非常に良好だった。
- 名古屋の有名ショップ「GMコーポレーション」でメンテナンスを受けてきたという信頼の置ける整備歴があった。
西浦氏には買い取り業者から350万円の提示があったという。それを踏まえ、最終的に380万円で取引は成立。それは業者を介さない個人売買だからこそ実現した、双方にとって納得のいく、敬意のこもった価格だった。
トラックが好きだから。夢のカスタムプロジェクトが始まる
このC-10の購入は、物語の終わりではない。むしろ、壮大なカスタムプロジェクトの始まりを告げる合図だ。水島氏の頭の中には、すでに完成図が描かれている。ボディを鮮やかなライトブルーに、そしてサイドをホワイトに塗り分けるという、クラシックな魅力を引き立てるプランだ。
彼はスーパーカーも所有するが、「一番好きなのは古いアメ車」と断言する。そして、ありふれたマッスルカーではなく、あえて「トラックだから」面白いのだと語る。その言葉からは、効率や速さだけでは測れない、クルマへの純粋な愛情が伝わってくる。今後、このC-10がどのように生まれ変わっていくのか。彼のYouTubeチャンネルでその過程が記録されていくのが今から楽しみだ。
おわりに
SNSの一通のDMから始まった、情熱に突き動かされた奈良への旅。それは、一台の古いトラックを巡る運命的な出会いであり、新たな夢の始まりでもあった。デジタルが繋いだリアルな縁は、時に私たちの想像を超えるドラマを生み出す。意味のある繋がりは、いつだって予期せぬ瞬間に訪れるものなのかもしれない。
ぜひ動画本編で、この特別な出会いの空気感を味わってみてください。

