完璧なラインは不要?チャートが乱れた時のプロの思考法

FXゴールドナビ

はじめに

FXトレーダーなら誰しも、「ここに綺麗なサポートラインが引ければ…」とチャートの曖昧さに悩んだ経験があるでしょう。特に長いひげが多かったり、価格がラインを少し割ってしまったりすると、どこを基準にエントリーすべきか判断に迷います。

今回は、YouTubeチャンネル「FXゴールドナビ」で公開された、プロトレーダー加藤氏によるリアルトレード解説動画から、まさにこのような「ラインが引きづらい」状況をどう乗り越えるか、その実践的な思考法を学びます。単なる理論ではなく、実際のエントリーから決済までを追体験できる貴重な内容です。

「トレンドのあとはレンジ」―まず相場の大きな流れを読む

トレードの成功は、まず大きな時間足での環境認識から始まります。動画で加藤氏は、最初にポンドドルの日足チャートを確認し、明確な上昇トレンドが発生していることを把握します。次に4時間足を見ると、その強い上昇が一服し、もみ合い(レンジ相場)に入りつつあることが分かります。

ここで加藤氏は、「トレンドのあとはレンジ、レンジのあとはトレンド」という相場の基本原則に触れます。強い上昇トレンドがあったからこそ、次はいきなり下落するのではなく、一度レンジを形成する可能性が高いと分析するのです。

さらに、より精度を高めるため、分析を1時間足や15分足へと落とし込みます。こうすることで、大局観に基づきながら、より具体的なサポート候補となるラインを特定していくのです。この最初のステップは、目先の値動きに惑わされず、より大きな市場の文脈の中でトレードを組み立てる重要性を示しています。

最も重要な教え:曖昧なラインを「ゾーン」で捉える

この動画の核心となる教えが、曖昧なチャートへの対処法です。加藤氏は、今回のケースでは長いひげの影響に加え、意識されていたサポートラインを既に一度下抜けている(終わってきている)ため、1本の完璧なラインを引くのが難しいと判断します。

そこで彼が採用するのが、ラインを「点」ではなく「ゾーン(面)」で捉えるという柔軟な考え方です。特定の価格でピンポイントに反発するのを待つのではなく、「この辺り一帯で買いの圧力が強まるだろう」と、ある程度の幅を持たせたエリアとして認識します。この精神的な転換は、単なるテクニックではなく、市場の現実をより正確に反映したものです。サポートやレジスタンスは一本の完璧な線ではなく、需要と供給が拮抗するエリアなのです。

この重要な考え方は、動画内の以下の言葉に集約されています。

このライン上ぴったりで止まる と 見る より か は、この辺り緩やかにそろそろ買いが入ってくるかな、というふうに捉えるのがいいです。

エントリーの神髄:「RSIダイバージェンス」という最終トリガー

「買いが入りそうなゾーン」という曖昧な状況の中で、どうやって具体的なエントリーポイントを見つけるのでしょうか。ここで加藤氏は、1分足という短期足に切り替え、明確なエントリートリガーを探します。

彼が最終的なGOサインとして使ったのが**「RSIのダイバージェンス」**です。これは、ローソク足の価格は安値を切り下げているにもかかわらず、**RSI(相対力指数)**のボトムは横ばいか切り上がっている状態を指します。これは売りの勢いが弱まっていることを示唆する強力なサインです。

ここにプロの思考法の神髄があります。トレードの方向性を決める環境認識では「ゾーン」という曖昧さを受け入れつつ、最終的な実行の瞬間には「ダイバージェンス」という客観的で数学的な規律を求めるのです。この組み合わせが、不確実な相場環境でも自信を持って行動することを可能にします。

日足トレンドの力:なぜこのトレードは成功したのか

このトレードがなぜ成功したのか。その答えは、最初の環境認識にあります。加藤氏は動画の最後に、このトレードがほとんど含み損になることなく利益を確定できた理由を、**「日足トレンドの勢いを支えにしたから」**だと分析しています。

1分足のRSIダイバージェンスは、それ単体ではただの短期的な逆張りサインに過ぎません。しかし、今回は日足レベルの強力な上昇トレンドという大きな追い風に乗っていました。つまり、RSIダイバージェンスはランダムなシグナルではなく、日足が語るマクロな物語を裏付けるミクロな証拠だったのです。このトレードの成功は、最も強力な短期シグナルとは、既に存在する長期的なトレンドの起爆剤となるものである、という重要な教訓を示しています。

おわりに

この動画が示すのは、理想的な教科書のチャートではなく、プロのトレーダーが日々直面する、不完全で曖昧な「現実のチャート」との向き合い方です。

この動画は、不完全なチャートを読み解くための、以下の3段階からなる完成された思考のフレームワークを提供してくれます。

  1. まず大きなトレンドを把握し、シナリオを立てる(環境認識)
  2. 完璧なラインに固執せず、「ゾーン」で柔軟に買い場を捉える
  3. エントリーはRSIダイバージェンスのような明確なトリガーを待つ

手法そのもの以上に、相場の不確実性を受け入れ、その中でいかに優位性を見つけ出すかという、プロの思考プロセスこそが最大の学びとなるでしょう。

ぜひ動画本編で、このリアルな思考プロセスを追体験してみてください。