はじめに
FX取引の世界では、信頼できる実践的な情報を探し出すのは容易ではありません。多くの情報が溢れる中で、どれが本当に自分のトレードを向上させてくれるのか見極めるのは、トレーダーにとって共通の課題でしょう。
今回ご紹介するのは、そんな悩みに応える一つの指針となるYouTube動画です。この動画では、多くのプロトレーダーから「為替の教科書」と評される名著、『FXデイトレード・スイングトレード』が詳細にレビューされています。
単なる書籍紹介に留まらず、動画では具体的なプロレベルの戦略や、その背景にある思考法が分かりやすく解説されています。FXの基礎を固めたい初心者から、スキルをさらに磨きたい中級者まで、すべてのトレーダーにとって価値あるヒントが詰まった内容となっています。
為替の「教科書」と呼ばれる一冊
動画で取り上げられている『FXデイトレード・スイングトレード』は、JPモルガンなどで長いキャリアを積んだプロ、キャシー・リーン氏によって執筆されました。本書はファンダメンタルズ分析からテクニカル分析までを網羅した包括的な内容で、FXの基礎をゼロから学びたい方や、知識を体系的に整理したい方に最適な一冊です。
実はこの本、以前から人気を博していた『FXトレーディング』の第3版にあたる改訂版です。今回の版では、新たにスイングトレードに関する手法が追加されたほか、2010年以降の市場動向を踏まえた分析が盛り込まれており、より現代の市場に即した内容にアップデートされています。
プロが注目する3つのトレード手法
動画では、書籍に掲載されている9つのテクニカル戦略の中から、特に独創的で興味深い3つの手法がピックアップされています。ここでは、その核心的なアイデアと具体的なルールを解説します。
ラウンドナンバーでの反転
これは15分足を使ったデイトレードの手法です。基本的なルールは、キリの良い価格帯である「ラウンドナンバー」を基準に、その10pips上で買いエントリーし、30pipsの損切りを設定するというシンプルなもの。そして、利益が30pips(リスクリワード1:1)に達したらポジションの半分を決済し、残りはトレーリングストップで利益を伸ばします。
動画の解説者によれば、この手法をそのまま使うにはマルチタイムフレーム分析などを加えて改善の余地があるとしつつも、「ラウンドナンバーが重要な価格帯として機能する」というコンセプト自体が非常に強力であると指摘しています。この考え方は、自分自身の手法を構築する上での優れた土台となり得ます。
僅か日ブレイクアウトの改良版
有名な「タートルズ」が用いた20日間ブレイクアウト戦略を、さらに洗練させた手法です。通常、20日間の高値を更新した時点でエントリーしますが、この手法のユニークな点は、ブレイク後に一度価格が下がる「押し目」を待つことです。そして、その押し目形成後、3日以内に価格が回復し直近の高値を更新したタイミングで初めてエントリーします。
この一手間を加えることで、ブレイクが失敗に終わる「騙し」の多くをフィルタリングできる、非常に賢いリスク管理術と言えるでしょう。損切りは形成された押し目の安値の少し下に置き、利益確定はリスクリワード1:1で半分を決済、残りはトレーリングストップで追随します。
パーフェクトオーダーとADXの組み合わせ
日足チャートに5本(期間10, 25, 50, 100, 200)の移動平均線を用いてトレンドを捉えるスイングトレード戦略です。この手法の巧妙さは、単に移動平均線が綺麗に並ぶ「パーフェクトオーダー」を探すだけではない点にあります。トレンドの強さを示すADXを組み合わせ、その値が20以上であることを条件に加えることで、勢いの弱いトレンドを排除し、信頼性の高いシグナルのみを狙います。
さらに、パーフェクトオーダーが形成されてから5日間その状態が維持されるのを待ってからエントリーするというルールも、安定したトレンドを確実に見極めるための工夫です。ポジションを持った後は、パーフェクトオーダーの並びが崩れた時点で手仕舞いとなります。
手法の先にある、プロの思考法
この動画の解説者が、書籍から特に価値があると感じたのは、個別の手法だけでなく、その根底にある「プロの思考法」でした。ここでは、特に重要だとされた3つのポイントを紹介します。
第一に、日足の重要性です。本書で紹介される手法の多くは日足チャートをベースにしており、多くの市場参加者が注目する日足を分析することは、トレードの学習と実践の両面で非常に有益であると強調されています。
第二に、常に市場の両側面を考慮する必要性です。プロのトレーダーは、トレンドフォローと逆張りの両方のシナリオに備え、柔軟な思考を持つ必要があります。動画の解説者はこの点について次のように語っています。
為替市場においては買い圧力、売り圧力、常にですね色んな方向動き方があるということになります。トレンドが成功することもありますし騙しになることもある。そうしたところを常に念頭において…反対の考え方も柔軟に保っておく必要性があるということです。
第三に、分割決済の重要性です。先ほど紹介した「ラウンドナンバー」や「ブレイクアウト」の手法にも組み込まれていたように、本書の戦略のほとんどは「分割決済」を推奨しています。目標値(例:リスクリワード1:1)でポジションの一部を利確して利益を確保し、残りをトレンドが続く限り伸ばす。このアプローチは、着実に利益を積み上げつつ大きなリターンを狙うための、極めて実践的な原則です。
おわりに
この動画は、単なる書籍レビューを超えて、プロのトレーダーがどのように市場と向き合い、戦略を組み立てているかを学ぶための貴重な教材です。具体的なテクニックと、その背景にある柔軟で戦略的な思考法を組み合わせることで、自身のトレードを新たなレベルへと引き上げるヒントが得られるでしょう。動画本編で、ご自身のトレードに活かせるさらなるヒントを探してみてはいかがでしょうか。

