はじめに
無数の通貨ペアが並ぶ取引画面を前に、「一体、今日はどれで戦えばいいんだ?」と途方に暮れた経験はありませんか。これは、多くのFXトレーダーが日々直面する課題です。そんな悩みを解決する強力で論理的な方法として、「通貨の強弱」という考え方があります。
YouTubeチャンネル「FXゴールドナビ」の動画では、この通貨の強弱を見抜く具体的な技術が解説されています。しかし、この動画の真骨頂はそこだけではありません。この強力なテクニックを学んだトレーダーが陥りがちな「致命的な罠」についても、鋭く警鐘を鳴らしています。
本記事では、その動画の要点を凝縮し、「一番動く通貨ペア」を見つける方法と、それだけでは勝てない理由を明らかにしていきます。
すべての基本、「通貨の強弱」とは何か
「通貨の強弱」とは、最も強い通貨と最も弱い通貨を見つけ出し、その組み合わせである「最も効率よく動く通貨ペア」を選定する技術のことです。
例えば、ある日に通貨ペアAが10pipsしか動かなかったのに対し、通貨ペアBは100pipsも動いたとします。どちらで取引すべきだったかは明白でしょう。このように、最も値動きしやすい通貨ペアを選ぶことが、通貨の強弱を分析する目的です。
動画の解説者は、これを特別な手法ではなく、すべての根底にある基礎的な概念だと強調しています。これは数あるテクニックの一つではなく、FXという取引そのものの「OS」のようなものだと考えてください。すべての値動きは、この通貨間の力関係によって引き起こされているのです。この原則を理解することで、明確で取引しやすいトレンドを捉えることができます。
最強通貨ペアを「見抜く」ための具体的なステップ
動画では、通貨の強弱を判断するための具体的な方法が紹介されています。
基本は、複数のチャートを比較することです。例えば、「ドル円」が上昇(ドル>円)し、「ユーロドル」も上昇(ユーロ>ドル)している場合、この2つのチャートから「ユーロ>ドル>円」という力関係が推測できます。これにより、まだ見ていない「ユーロ円」のチャートが強い上昇トレンドを形成している可能性が高いと判断できます。
さらに、動画の解説者が実践している、素早く市場を把握するための効率的な手順は以下の通りです。
- 最初にドルストレートを確認: まずドル円、ユーロドル、ポンドドルなどをチェックし、基軸通貨であるドルの全体的な方向性を最初につかみます。
- 次にクロス円を確認: ドル円、ポンド円、ユーロ円などの向きが揃っているかを見ます。方向性が揃っていれば、円が相場を主導している**(円高または円安がテーマになっている)**と判断できます。
- 最後に通貨ごとの塊で確認: ユーロドルとユーロ円、ポンドドルとポンド円といった「塊」で見ることで、ユーロやポンド自体の強さ・弱さを最終的に判断します。
また、動画では通貨の強弱をグラフで視覚的に示してくれる無料ツールとして、mataf.netというウェブサイトも紹介されており、すぐに実践できるヒントも提供されています。
初心者への意外なアドバイス:「多くの通貨ペアを見すぎない」
より多くのチャンスを見つけるために、たくさんの通貨ペアを監視した方が有利に思えるかもしれません。しかし、ここで、解説者は自身の経験則として、特に初心者に向けて意外なアドバイスを送っています。それは「最初は通貨ペアの数を絞った方が良い」というものです。
その理由は、少ない通貨ペアに集中することで、その通貨ペア特有の値動きやクセといった「経験値」を深く蓄積できるからです。多くのチャートを追いかけて分析の手間を増やすよりも、まずはメジャーな通貨ペアで着実にトレード技術の土台を築くことが重要だと説いています。これは、単にシグナルを追い求めるのではなく、本質的なスキル習得を優先する、非常に実践的な考え方です。
この動画で最も重要な警告:「通貨の強弱」の罠
さて、ここからがこの動画で最も重要なポイントであり、多くのトレーダーが学びの途中でつまずく落とし穴です。多くのトレーダーが陥る罠は、「通貨の強弱を学び、最強通貨と最弱通貨のペアを見つけたら、すぐに飛びついてしまう」という行動です。
動画では、この点について強く警告しています。
通貨の強弱だけを見てトレードしてはいけない。
なぜなら、たとえ通貨の強弱がはっきりしていても、そのチャートが「相場の壁」に直面している可能性があるからです。この「壁」とは、過去の重要な高値や強力なレジスタンスラインなどを指します。どれだけ勢いのあるトレンドでも、この壁にぶつかれば一瞬で失速し、反転してしまうケースは少なくありません。
最終的なトレード判断は、必ず個別のチャートを分析し、「リスクリワード(リスクに対するリターンの割合)」を確認して下さなければなりません。すぐ近くに強力な壁が存在し、得られる利益(リワード)が小さいのであれば、そのトレードは見送るべきなのです。
そして、ここに驚くべき本質が隠されています。時には最強と最弱の組み合わせよりも、トレンド発生が少し「出遅れたチャート」の方が、より良い取引機会を提供してくれることがあるのです。なぜなら、出遅れている分、前方に「壁」がなく、利益を伸ばせる余地、つまり「伸びしろ」が大きく残されているからです。これこそが、優れたリスクリワードを持つトレードに繋がるのです。
おわりに
本記事では、FXゴールドナビの動画を元に、「通貨の強弱」という強力な分析ツールとその危険な落とし穴を解説しました。それは単に「最も動く通貨ペア」を見つける技術にとどまらず、その知識だけを頼りにすることがいかに危険であるかを教えてくれます。
真のスキルとは、通貨の強弱で「戦うべき場所」を見つけ、個別チャートの分析で「戦うべき時」を判断することです。この二つの視点が揃ったとき、あなたは単なるシグナル追従者から、計算された優位性を持つトレーダーへと進化するでしょう。
この記事で解説した概念を実際のチャートで確認するために、ぜひFXゴールドナビの本編動画もチェックしてみてください。

