FXの常識が変わる?移動平均線だけで勝つ、驚くほどシンプルなスイングトレード術

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はじめに

多くのトレーダーが直面する共通の壁、それはテクニカル分析の圧倒的な複雑さです。無数のインジケーター、難解な理論、そして終わりのない情報収集。そんな迷路の中で、多くの人が自信を失っていきます。

今回ご紹介するYouTube動画は、その複雑さに対する爽快なアンチテーゼを提示します。動画が解説するのは、個人トレーダーとして成功し投資顧問会社も設立したブレンド・リー氏の名著『裁量トレーダーの心得』に記された叡智です。この本は2000年代後半に株式トレード向けに書かれたものですが、その普遍的な原則は現代のFXにも十分通用すると動画では語られています。

動画は、この書籍のエッセンスを、2つの驚くほどシンプルで実践的なスイングトレード手法に凝縮しています。保有期間2日から7日程度を想定したこれらの手法は、移動平均線のみに焦点を当て、誰にでも再現可能な明快さが特徴です。

この記事では、動画で紹介されているパワフルな手法を深掘りし、なぜこの動画がトレードに一貫性を求めるすべての人にとって必見なのか、その理由を探っていきましょう。

基本にして王道:「デイライト」を捉えるトレード手法

動画で最初に紹介されるのは、「基本形のトレード」と呼ばれる、まさに土台となる手法です。このアプローチの最大の特徴は、日足チャートに表示するテクニカル指標が、たった1本の「10期間単純移動平均線(10 SMA)」のみであるという点です。

この手法の核となるのが「デイライト」という概念。これは、価格が急騰した結果、ローソク足の安値と10 SMAとの間に、少なくとも2日間、明確な空間(ギャップ)が生じている状態を指します。この「デイライト」の発生は、市場に非常に強い勢いが生まれたことを示す視覚的なサインとなります。

エントリーまでの手順は、以下の4つの論理的なステップで構成されています。動画ではデイライトの確認から入りますが、実践的なワークフローとしては、まず市場の背景を確認することから始めるのがより論理的です。

  • トレンドの初動を確認: まず、チャートの左側が横ばいのレンジ相場であったことを確認します。なぜなら、この横ばい期間は、トレンドが爆発するための「上昇のエネルギーがしっかりと溜まっている」状態だからです。いわばバネが縮んだ状態であり、ここからのブレイクは力強いトレンドの初動となる可能性が高まります。
  • 「デイライト」の発生: 次に、強い価格上昇によって「デイライト」が生まれていることを視覚的に確認します。
  • 10 SMAへの押し目を待つ: ここで焦りは禁物です。価格が一旦調整し、10 SMAまで引き戻される(タッチする)のを辛抱強く待ちます。
  • トレンドラインのブレイクでエントリー: 最後に、調整局面(押し目)の高値を結んで引いた短期的なトレンドラインを、価格が明確に上へブレイクしたタイミングでエントリーします。

このアプローチの美しさはその論理性にあります。エネルギーが凝縮された後の強い勢い(デイライト)を確認し、健全な調整(10 SMAへのタッチ)を待ち、そしてトレンドが再開する兆候(トレンドラインブレイク)で仕掛ける。非常にエレガントな戦略です。

相場の転換点を見抜く独創的な「ボウタイ・パターン」

次に紹介される「ボウタイ・パターン」は、相場の大きな転換点を捉えるための、より独創的でクリエイティブな手法です。このパターンでは、3本の移動平均線を使用しますが、そこには著者のこだわりが見られます。使うのは10期間単純移動平均線(SMA)、そして**20期間と30期間の指数平滑移動平均線(EMA)**です。

「ボウタイ」とは、その名の通り「蝶ネクタイ」を意味します。通常の相場転換では、トレンドが変わる際に一定期間のもみ合いや横ばいの形が入ることがほとんどです。しかしボウタイ・パターンは、その乱雑な期間をスキップします。下降トレンドの「パーフェクトオーダー」(移動平均線が上から30、20、10の順)から、上昇トレンドの「パーフェクトオーダー」(上から10、20、30の順)へと、まるで一点の結び目から一気に転換するのです。この収束と拡散の形が、蝶ネクタイのように見えます。

このパターンが強力なのは、通常の転換期に見られる迷いや攻防を省略し、市場のセンチメントが極めて攻撃的かつ決定的にシフトしたことを示唆するからです。このような急激な転換は、しばしば強く持続的なトレンドの始まりとなります。

動画では、このパターンが短期の移動平均線だからこそ発見できると解説されています。長期線では、これほど綺麗な転換は滅多に現れません。

トレードに慣れている方ほど、こうした形が本当に出てくるのかなというふうに疑問に思われるかもしれませんが、実際にチャート上で探していくとまれにこのパターンが出てきていることがあります。

ボウタイ・パターンが確認された後のエントリーロジックは、基本的に前述の「基本形のトレード」と同じです。パターン形成後に価格が10 SMAへ押し目をつけるのを待ち、そこからのトレンド再開を狙います。

勝率5割で利益を残す「分割決済」という発想

優れたエントリー手法も、適切な出口戦略がなければ意味を成しません。動画では、長期的な収益性を確保する鍵として、著者の決済哲学に光を当てます。その哲学とは、「勝率は5割で十分。重要なのは決済の管理だ」というものです。

この「損小利大」をシステムとして実現するのが、「2分割決済」という戦略です。

  1. 半分のポジションを利確: まず、利益がエントリー時のリスク(損切り幅)と同額になった時点(リスクリワード比1:1)で、ポジションの半分を決済します。これは単に利益を確保するだけでなく、トレードから心理的なプレッシャーを取り除き、残りのポジションを規律正しく管理するための重要なステップです。
  2. 残り半分で利益を伸ばす: 残りの半分は、「ゆるやかに」トレーリングストップを動かして管理します。これはタイトに追いかけるのではなく、ローソク足の安値から少し離した位置にストップをずらしていくイメージです。この「緩やかさ」が、トレンドが力強く継続した場合に大きな利益を捉えるための鍵となります。

この賢明な出口戦略こそが、システム全体を堅牢なものにしています。50%の勝率でも、一度の大きな利益が複数回の小さな損失を補って余りある結果を生み出し、トータルで利益を残すことを可能にするのです。これは、非現実的な高勝率を追い求めるのではなく、健全なリスク管理を最優先するプロフェッショナルなアプローチと言えるでしょう。

なぜこの手法は、誰でも再現できるのか

この動画で紹介されている手法が、多くのトレーダーにとって魅力的である理由は、その核心にあるいくつかの原則に集約されます。

第一に、シンプルさです。この手法は、複雑で難解なインジケーターを一切排除し、誰もが利用できる標準的な移動平均線のみに依存しています。チャートはクリーンで、判断に迷う要素が極めて少ないのが特徴です。

第二に、再現性です。エントリーから決済までのルールは非常に明確かつ客観的です。これにより、トレーダー個人の主観や感情が入り込む余地が少なくなり、誰でも一貫したトレードを再現することが可能になります。

そして最後に、動画は書籍が最も強調する、すべてを包括する大原則に触れています。それは、徹底した資金管理です。具体的には「2%ルール」、つまり1回のトレードで失う可能性のある金額を、総資金の2%以内に抑えるという規律です。

この最後のポイントこそが、プロのトレーディングの土台です。手法自体がパワフルであることはもちろんですが、長期的に市場で生き残り、成功を収めることを保証するのは、この揺るぎないリスク管理の規律なのです。

おわりに

今回ご紹介した動画は、市場のノイズの中から明確な道筋を見出すための羅針盤となり得ます。シンプルで論理的なトレード設定と、プロフェッショナルなリスク・リワード管理を組み合わせることで、FXトレードはより明快で、ストレスの少ない活動になるでしょう。

無数のインジケーターと複雑な戦略が溢れる世界で、一貫性を保つための真の鍵は、もしかしたら「徹底的なシンプルさ」の中に見つかるのかもしれません。

ぜひ動画本編を視聴し、実際のチャート上でこれらのパターンがどのように機能するのかをご自身の目で確かめてみてください。