はじめに
FXトレーダーであれば、常にチャートの中にチャンスを探し、「乗り遅れてはいけない」という焦りを感じた経験が一度はあるでしょう。その絶え間ない誘惑こそが、多くのトレーダーを消耗させ、資金を失わせる原因となります。
今回ご紹介するYouTube動画「【FX】最新のダウ理論、エントリーポイントの読み方【スキャル】」は、その考え方を根底から覆す、非常に強力な教えを提示してくれます。それは、FXにおける真のスキルとは、いつトレードをしないかを知ることにある、という逆説的ながらも本質的な真実です。
この動画は、1分足スキャルピングにおいて、明確なルールに基づき、ひたすら忍耐強く待ち、規律を守り抜くことの重要性を説いています。市場のノイズに惑わされ、自分のトレードを見失っているすべての人にとって、必見の内容と言えるでしょう。
「待つ」ことこそが戦略:50pipsゾーンという考え方
動画で解説されている「ゴールデン手法」の核となる原則は、極めてシンプルです。それは、価格が50pips間隔のラウンドナンバーのゾーン内で横ばいに動いているときは、一切トレードをしない、というものです。
このゾーンは「ノン・トレンド」の局面と定義され、方向感がなく、トレードをするには圧倒的に不利な環境です。ノン・トレンド環境は、長期移動平均線(EMA100)が完全に横ばいになり、ローソク足がその上下にまとわりつくような形でも視覚的に確認できます。この単純なルールに従い、明確なトレンドが発生するまで待つこと。これこそが、資金を守り、優位性の高い局面だけを狙うための土台となります。これは単なる「何もしない」ことではなく、プロフェッショナルとしての意図的な戦略なのです。
優位性が生まれる瞬間:明確な2つのエントリーパターン
では、いつ行動を起こすべきなのか。動画では、明確な2つのエントリーシグナルが示されています。
- ラウンドナンバー・ブレイクアウト 50pipsのレンジを、強い勢いを伴う「大陽線」や「大陰線」が突き抜けた瞬間です。これは単なるブレイクではなく、市場の強い意志と方向性を示すサインであり、新たなトレンドの始まりを示唆する最初の重要なエントリーポイントとなります。
- EMA13へのプルバック 最初のブレイクアウト後の、次のチャンスです。上昇トレンド中であれば価格がEMA13(期間13の指数平滑移動平均線)まで下がってきた押し目買い、下降トレンド中であればEMA13まで上がってきた戻り売りを狙います。 ただし、ここには専門的なフィルターが存在します。最も優位性の高いプルバックは、ブレイクアウトの直後、価格が50pipsゾーンの中間地点(25pips地点)に到達する前に発生するものです。中間地点を超えてからのプルバックは、すでに動きが遅れており、「高値掴み」や「安値掴み」になるリスクが高まります。このルールこそ、追いかけるトレードを避け、勢いの初期段階を捉えるための規律です。
これら2つのパターンは、明確な勢いが確認された時にのみ市場に参入するための、機械的で再現性の高い手法を提供してくれます。
トレンドの終焉を見極める:大衆の逆を突く転換点の捉え方
この動画の真骨頂は、単なるトレンドフォローに留まらない、より高度な概念にあります。それは、トレンドの転換点を予測し、そこを狙ってトレードする方法です。
例えば50pipsを超えるような長い下落が続いた後、最安値を作る直前の高値である「戻り高値」を特定します。これは、トレンドの終盤で慌てて売りに飛び乗ったトレーダーたちの損切り注文が溜まっている生命線です。価格がこの「戻り高値」を明確に上抜けた瞬間、その損切り注文が一斉に執行され、価格を爆発的に押し上げる燃料となります。このメカニズムを理解し、そのエネルギーを利用して買うのです。動画では、この強力なアイデアが次のように語られています。
下落の最後のほうは個人トレーダーの売りがはいってきやすく、そういったトレーダーの損切りを狙ってトレードを仕掛けていきます。
このテクニックは、トレーダーの視点を単にトレンドを追いかける存在から、群集心理を読み解き、その終焉を積極的に利用する熟練者へと引き上げてくれるでしょう。
完璧さより、淡々とした規律を
この動画が信頼できるのは、成功したトレードだけでなく、損切りになったトレードも包み隠さず見せている点です。これは、トレードの現実を浮き彫りにします。成功とは、全てのトレードに勝つことではなく、期待値がプラスの戦略を一貫して実行し続けることによってのみもたらされるのです。
動画内で行われた1週間のシミュレーション結果(22回のトレード、勝率64%、プロフィットファクター1.60)は、完璧さではなく、規律こそが長期的な収益性につながることを証明しています。
勝ちやすいポイントであるという風な認識をしてどんどん続けていくだけです。
この動画は、テクニカルな手法の解説であると同時に、感情を排し、計画を淡々と実行し続けることの重要性を説く、メンタルコントロールのマスタークラスでもあります。
おわりに
この動画が教えてくれるのは、単なる手法ではなく、トレーダーとしての成長の道のりです。その核心は、3つの段階的な力に集約されます。
- 基盤となる「待つ力」:ノン・トレンドの50pipsゾーンでは何もしないという、最も重要で基本的な規律。
- 的確な「実行する力」:ラウンドナンバーのブレイクや、中間地点より手前のEMA13プルバックといった、優位性の高い継続シグナルでのみ行動する判断力。
- 熟練者の「思考を切り替える力」:トレンドの終焉を見極め、大衆の損切りを燃料に逆を突く、市場の力学を理解した上での戦略的転換。
「常にトレードしなければ」という思考から、「適切な瞬間を待つ」という思考へ。その視点の変化が、あなたのトレード結果を大きく変えるかもしれません。
動画の全編を視聴し、これらの原則が実際の市場でどのように適用されるかを確認し、あなた自身のトレードに何が響くかを発見してみてください。

