はじめに
ヴィンテージバイク。その響きには、単なる移動手段としての機械を超えた、抗いがたいロマンが宿っています。歳月を経てなお色褪せない造形美、現代の効率性とは無縁の官能的なエンジン音、そして当時の時代背景を纏った圧倒的な佇まい。それらは所有する者の審美眼を映し出す鏡であり、人生という旅路を彩る至高のピースと言えるでしょう。
今回、FXトレーダーの水島翔氏が自身のガレージに迎えたのは、まさに旧車界の「伝説」と呼ぶにふさわしい2台のカワサキとホンダ。合計1000万円という対価を払い、約半年の月日をかけて磨き上げられた愛車たちが届く特別な一日は、静謐ながらも熱い高揚感に包まれていました。この記録は、決して単なる高級品の誇示ではありません。少年時代の憧れを、現代の技術と確固たる哲学によって完璧な形へと昇華させた、一人の男の「こだわり」の物語なのです。
1000万円の静謐なる美。伝説の「Z1」と「ヨンフォア」が放つオーラ
ガレージに姿を現したのは、旧車ファンが一度は夢に見る至宝の2台。大型バイクの金字塔であるカワサキ「Z1(900cc)」と、ミドルクラスの傑作として名高いホンダ「CB400F」、通称ヨンフォアです。その市場価値は、Z1が約420万円、ヨンフォアが車両本体400万にカスタム費用200万を投じた約600万円。計1000万円という投資によって仕上がったその姿は、もはや「走る工芸品」と呼ぶべき次元に達しています。
特にZ1のタンクを彩る「イエローボール」は、伝説の火の玉カラーと双璧をなすマニア垂涎の配色。大柄で力強いZ1の存在感に対し、ヨンフォアは一回り小ぶりながらも凝縮された美しさが際立ちます。旧車専門の名門ショップ「ウエマツ」のメディアも注目するほどの完璧な仕上がりを前に、水島氏からは思わず感嘆の声が漏れました。
「これかっこいいから飾っとくよ これリビングに飾りたいくらいかっこいい」
バイクを単なる乗り物としてではなく、生活空間を彩る美術品として愛でる。その言葉には、機能美を極めた造形に対する最大級の敬意が込められています。
オリジナリティを超えた「自分だけの最高」を形にする美学
水島氏のカスタムに対する姿勢は、極めて潔いものです。それは「当時の状態を忠実に保存する」というオリジナル至上主義への固執ではなく、「自分自身がいかにかっこいいと思えるか」を最優先する独自の審美眼です。
「僕が思うのは、やっぱその当時の良さを残したいとかあんまりなくて。もうかっこよければいいと思ってる」
この揺るぎない哲学に基づき、随所に徹底したアップデートが施されています。
- ヨンフォア:元はシルバーだったパイプ類をブラックに統一し、全体の印象をシックに引き締め。シートはベージュの刺繍入りへと張り替え、モダンなエレガンスをプラス。
- Z1:アイコニックなイエローボールのタンクを冠し、伝統と個性を融合。
- 吸気系:両車ともに「FCR35」キャブレターを採用。強制開閉式特有の吸気音と現代的なレスポンスを両立させた、旧車乗りにとっての究極の選択。
- 足回り・電装:強化メインハーネスで電装系を一新し、デジタルイグニッションを導入。
特筆すべきは、外観からは見えない「エンジン内部」への徹底した投資です。腰上オーバーホールはもちろん、金属表面の疲労強度を高め摩耗を極限まで抑える「WPC加工」を実施。エンジン周りだけで100万円単位の費用を投じるその姿勢は、見えない部分にこそ本質が宿るという、真の大人のこだわりを感じさせます。
16歳からの情熱の記憶と、加速するガレージライフの夢
水島氏のバイクへの愛は、昨日今日始まったものではありません。ガレージの片隅には、彼が16歳の頃から四半世紀近く手放さずに持っている「TW200」が静かに鎮座しています。
「これだけは手放さなかった。16歳の時にビューティフルライフのキムタクのあれで流行ってて」
ドラマ『ビューティフルライフ』が生んだ「スカチューン」の熱狂。当時の流行を反映したその1台は、売却してもわずかな金額にしかならない現実もありましたが、水島氏はあえて手元に残し続けました。それは、十代の情熱の証をあえて手放さない男の矜持であり、彼の原点でもあるのです。
そして今、彼のガレージライフはさらなる高みへと向かっています。9月には、Z1-LTDをベースにした「マークII仕様」や、実に1550万円という驚愕の価値を誇る「ローレプ(Z1000R2)」などを含め、計7台の稀少車が並ぶ壮大な計画が進行中。バイクは単なる趣味を超え、ガレージという空間で眺め、触れ、磨き上げるプロセスすべてを含めた、豊かな人生のピースとなっているのです。
おわりに
今回納車されたZ1とヨンフォア。それらは、1000万円という数字以上の価値——「理想を形にした」という至高の満足感——を水島氏にもたらしています。自分の信じる美学に情熱と私財を投じ、一切の妥協なく自分だけの「最高」を追求する。その姿勢は、私たちに「情熱を注げる何かを持っているか」という問いを投げかけてくるようです。
動画本編では、写真だけでは決して伝わらないFCRキャブの官能的な吸気音、そして重厚なエンジンの鼓動が克明に記録されています。ぜひ動画をチェックして、その圧倒的な造形美と、大人の遊び心が詰まった世界観をリアルに体感してみてください。

