FXトレーダーを襲った「孤独」の壁。自由の先で見つけた、自分だけの羅針盤

水島 翔/FXトレーダー

はじめに

「会社を辞めて、自由に生きたい」 多くの人が一度は思い描く「脱サラ」という夢。その選択肢として、FXトレーディングで生計を立てることに憧れを抱く人も少なくないでしょう。しかし、その華やかなイメージの裏には、私たちが想像する以上の精神的な葛藤が存在します。

今回ご紹介するのは、FXトレーダー水島翔氏のYouTube動画です。この動画は、彼が会社員という安定を捨て、専業トレーダーとして独立した後のリアルな体験を赤裸々に語っています。これは単なる成功譚ではありません。時間や労働で価値を測る「時給思考」から解放された先に待ち受けていた苦悩、そしてその内面的な戦いを乗り越え、自分だけの「稼ぐ理由」を見つけ出すまでの、驚くほど人間的な洞察に満ちた物語です。

「時給思考」からの解放

水島氏がFXの世界に足を踏み入れたとき、彼はまず強烈な価値観の転換を経験しました。これまで当たり前だった「働いた時間の対価としてお金を得る」という、いわゆる「時給思考」が根底から覆されたのです。

会社員であれば、一日に稼げる金額には限界があります。しかしFXの世界では、ほんの数分で数万円という利益が生まれる可能性がある。この事実は、彼にとって希望そのものでした。

それがね 分給で数万円っていう世界を知ったからさ

この衝撃的な発見は、彼を「やっとお金持ちになれる」という強い確信へと導き、トレーダーとしての道を本格的に歩む大きな原動力となったのです。これは、彼の価値観が外部の尺度(時間)から、内部の可能性へとシフトし始めた最初の瞬間でした。

自由の裏にあった「孤独」という名の壁

しかし、希望を胸に会社を辞め、専業トレーダーとなった彼の前に、予期せぬ壁が立ちはだかります。それは、自由と引き換えに手に入れた「孤独」でした。

彼の不振は、サラリーマンという安定収入のセーフティネットを失った直後から始まりました。「FXの収入しかない状態に自分を持っていった」途端、精神的なプレッシャーが重くのしかかり、彼のトレードは3〜4ヶ月にわたって低迷します。「チャートずっと見ちゃう」ほど画面に張り付き、焦りから過剰なトレ-ドを繰り返す日々。彼は当時を「ちょっと病んでた時期があった」と振り返ります。

この苦しみを何倍にも増幅させたのが、誰にも相談できない孤立感でした。周りにトレーダー仲間はおらず、自分の戦略や悩みを共有する相手がいない。「孤独だったからね」「誰にも聞けない状態だった」という言葉からは、一人ですべてを抱え込むしかなかった当時の彼の苦悩が伝わってきます。時間的な自由を手に入れたはずが、精神的にはかえって袋小路に迷い込んでいたのです。

苦境を乗り越えた「発信」という転機

この長く暗いトンネルから彼を救い出したのは、意外な行動でした。それは、自身のトレードについてオンラインで「発信」を始めたこと。

驚くべきことに、その動機は自己分析のためではありませんでした。トレードがうまくいかない中、「別の収入が欲しいなと思って」という、極めて現実的な理由から始めたのです。しかし、この実利的な目的で始めた行動が、思わぬ精神的なブレークスルーをもたらします。

人に教えるためには、自分自身がより深く勉強しなくてはならない。そして何より、発信を通じて「自分のトレードを俯瞰して見れるようになった」ことが最大の収穫でした。内なる孤独と焦りで狭くなっていた視野が、他者に向けて自分のプロセスを言語化することで、客観性を取り戻したのです。彼の内面的な問題は、外部との繋がりという、思いもよらない形で解決へと向かいました。

なぜ稼ぐのか?進むべき道を示す「ビジョンボード」

客観的な視点を取り戻し、トレードの「プロセス」を修正した水島氏。しかし、持続的な成功のためには、さらに深い次元の動機、つまり「目的」との繋がりが不可欠でした。ここで重要な役割を果たしたのが、彼の「ビジョンボード」です。

彼は、自身のコミュニティに参加する多くのトレーダーたちが道に迷う姿を見てきました。「単にお金を稼ぎたい」という動機だけで始めると、途中で「あれ、何のためにトレードしてんだろってなってくる」と、目的を見失い挫折してしまうのです。

彼のビジョンボードは、この問題に対する強力な処方箋です。欲しいものや行きたい場所の写真を貼ったボードは、単なる物欲のリストではありません。それは、自分がこの道を歩み始めた頃の初期衝動や情熱を思い出すための、強力なアンカーなのです。

その当時のさ 熱い気持ちとかが蘇ってくるじゃん

日々の損益という数字だけを追いかけていると、本来の目的は霞んでしまいます。そんな時、ビジョンボードが「なぜ自分はここにいるのか」を思い出させ、進むべき道を照らし出してくれるのです。

おわりに

水島氏の物語は、トレーディングで成功するために必要なのは、テクニカルなスキルだけではないことを教えてくれます。

それは、「時給思考」という外部の価値基準から脱却し、孤独という内なる壁を乗り越え、そして「なぜ稼ぐのか」という自分だけの羅針盤を見つけ出す旅路です。深い自己認識と精神的な強さこそが、本当の成功を支える土台となるのでしょう。

彼の話は、私たちに一つの重要な問いを投げかけます。チャートの上ではなく、私たち自身の心の中に潜む最大のリスクと向き合うとき、あなたの「なぜ」は、あなた自身を乗り越えるほど強い力を持っていますか?

動画本編で、彼の言葉の熱量をぜひ直接感じてみてください。