FXのノイズを消す「静寂の視点」—水島翔氏に学ぶ、週足から始めるシナリオ構築術

水島 翔/FXトレーダー

FXのチャートを開き、激しく上下するローソク足を目にしたとき、私たちの心には静かなざわめきが生まれます。「今すぐ入らなければ乗り遅れるのではないか」「この急落に飛び乗るべきか」——そんな焦燥感に駆られ、気づけば相場に「翻弄」されている。多くのトレーダーが経験するこの苦い感覚の正体は、実は手法の良し悪しではなく、チャートに向き合う際の「視点」の欠如にあります。

プロトレーダー・水島翔氏が提示するのは、テクニック以前の「相場をどう捉えるか」という本質的な哲学です。日々の喧騒から一歩引き、高い位置から相場を俯瞰する。この「静寂の視点」を手に入れることで、私たちはノイズだらけの迷路から抜け出し、確固たる根拠に基づいたシナリオを描けるようになります。この記事では、あなたのトレードを根底から変える「俯瞰の力」について紐解いていきましょう。

下位足の動きに翻弄されないための「視点」の転換

初心者がチャートを開いて真っ先にやってしまうこと。それは、5分足や1分足といった「下位足」を注視することです。画面の中で刻一刻と形を変えるローソク足は、私たちの本能をダイレクトに刺激します。「上がれば買いたい、下がれば売りたい」という衝動は、視野が狭まった心理状態から生まれる危ういものです。

ここで一度、想像してみてください。1分足でどれほど激しく暴れているように見える動きも、週足という広大な視点で見れば、それは「動いているかどうかもわからない」ほどの微細な点に過ぎません。森に入る前にまず高い丘の上から地図を広げるように、全体像を把握すること。この「俯瞰」というアプローチこそが、感情に流されないための心理的解放をもたらすのです。

「いきなりチャートを開いて5分足とか、ましてやこういった1分足とかを見ちゃうと、もうこの相場の動きに翻弄されちゃうんですよ。」

週足から始まる「大きな波」の把握とシナリオ構築

水島氏が実践するシナリオ構築は、常に「週足→日足→4時間足」という順序を崩しません。まず週足で「現在の相場がどの位置にいるのか」を特定することが、トレードにおける安心感の源泉となります。

ここで重要なのは、単にトレンドを見るだけでなく、その「性質」を見極めることです。例えば、週足全体で見れば「上昇トレンド」の最中にあっても、現在は一時的な「調整波」の中にあり、直近では「下方向へのバイアス(偏り)」が非常に強く働いている、といった構造が見えてきます。

「大きな上昇という海の中に、今は下向きの強い引き潮が来ている」と理解していれば、目先の動きに惑わされることはありません。時間軸を落としながら情報を精査していくプロセスは、霧が晴れるようにトレードの現在地を明らかにしてくれます。

「こうやって俯瞰することで落ち着いて見ていられるし、落ち着いてシナリオを描いていけるってことで、まず週足でね、今の相場の方向感と今どの位置にレートがいるのかっていうのを見ていきます。」

意識されるレートを可視化する「起点と終点」の考え方

複雑に見えるチャートの正体は、究極的には「人間心理の集積」です。相場を動かしているのは冷徹な機械ではなく、私たちと同じ人間の恐怖や期待です。だからこそ、多くの人間が意識する「起点と終点」——つまり過去に最高値や安値を作った出発点——には、強い意味が宿ります。

水島氏はこの「起点と終点」を水平線で可視化することで、相場を「領土(テリトリー)」として捉えます。起点となる価格帯をレートが抜ければ、市場の「目線」が切り替わったことを意味します。この境界線を引くことで、相場は「今どっちを狙うべきか」が明白な、シンプルな盤面へと姿を変えるのです。

例えば、経済指標(木曜日の22:30など)によって上下に激しい「髭(ひげ)」が伸び、一見「荒れている」ように見える日足チャートであっても、この起点と終点さえ見えていれば、その乱高下がどの範囲に収まっているのか、構造的に理解することが可能になります。

「結局ね、これトレードしてるのは人間なので、基本心理によって、集団心理によって動いてるってことは、やっぱ人間が理解してるから動きっていうのも、機械的にね、自然の中の動きよりは読みやすいんですよ。」

迷いのある相場でも「根拠」を持って見守る力

トレンドが明確でない「レンジ相場」や、方向感の乏しい「荒れた局面」で、私たちはつい無理なエントリーを繰り返してしまいがちです。しかし、上位足の視点から「起点と終点」で形成される広い値幅を把握していれば、現在の「迷い」さえも想定内となります。

1時間足レベルで方向感がないように見えても、上位足の構造上、今は「戻り売り」が入るべきポイントにいることが分かっていれば、スキャルピング的な視点で柔軟に利益を積み重ねることも可能になります。全ての波を取りに行くのではなく、自分の描いた「シナリオのテリトリー」にレートが来るまで、静かに見守る。この「待つ力」こそが、一流の証と言えるでしょう。

「大事なのが1時間足で起点終点で言うとこの値幅だけど、意識されるところある程度こう水平線を引いておく。そうすることで、こう買い足しに落とした時に、戻り売りの形でね、落ちてきているじゃないですか。こういったところが見えているか見えていないかも結構重要になってくるんですよ。」

おわりに

トレードの精度を劇的に変えるのは、特別な裏技ではなく、相場を正しく捉える「視点」の持ち方です。週足から俯瞰し、水平線によって「起点と終点」という地図を描く。このステップを踏むだけで、あなたのチャート画面からは余計なノイズが消え、心地よい「静寂」が訪れるはずです。

まずは次にチャートを開くとき、1分足を見たくなる衝動をそっと抑えて、週足という大きな時間軸から眺めることから始めてみてください。小さな習慣の変化が、やがてあなたのトレードにおける「確信」へと繋がっていくはずです。

具体的なエントリーの瞬間や、さらに深いシナリオの描き方については、ぜひ水島翔氏の動画本編で、その鮮やかな手腕を確かめてみてください。動画の全編を視聴して、あなたにとって最も響く「視点」をぜひ見つけてみてください。