はじめに
多くのFXトレーダーが一度は通る道、それは「情報過多」の壁です。無数のテクニカル指標、刻一刻と変わるファンダメンタルズニュース、そして予測不能な市場の動き。これらに振り回され、何を信じれば良いのか分からなくなってしまうことは珍しくありません。
そんな中、「水島 翔/FXトレーダー」氏のYouTube動画は、複雑さに疲れたトレーダーにとって、まさに一筋の光となるような内容でした。この動画が提唱するのは、徹底的に無駄を削ぎ落とした、初心者でも理解できるほどシンプルで、かつ論理的なアプローチです。
この記事では、この動画で語られている核心的な洞察を紐解き、読者の皆さんが自信を持ってトレードに臨むための、より明確で構造化された道筋を見つける手助けをします。
複雑さからの解放―なぜファンダメンタルズを「捨てる」のか
水島氏のトレード哲学の根幹にあるのは、「シンプルさ」の追求です。しかし、彼がファンダメンタルズを「捨てる」というのは、完全に無視するという意味ではありません。むしろ、その扱い方にこそ、彼の戦略の深さがあります。
彼は、トレードの判断基準から意図的にファンダメンタルズ分析を排除しています。なぜなら、重要な経済ニュースはすでにチャートの価格変動に織り込まれており(効率的市場仮説)、それを元に未来を予測しようとすることは「ギャンブル」に近いと感じたからです。
一方で、彼はファンダメンタルズを「リスクヘッジ」として活用します。経済指標の発表カレンダーを確認し、相場が荒れそうな時間帯を把握して、そのタイミングでのトレードを意図的に避けるのです。これは、ファンダメンタルズを予測の道具としてではなく、コントロール不能なリスクを避けるための盾として使う、極めて合理的なアプローチです。
やっぱね、このトレーデってのは自分のね、トレードをシンプルにロジック化していくってのがすごく重要になってくるので両方取り入れようとするとね、かなり複雑になっちゃうし、やっぱトレードの制度も落ちてくると思うんですよ。実際お金をかけた、え、トレードの中でそこまで考えて行動ってできないんで、やっぱシンプルなルールを作っておくってのはすごく重要だと思うんですよね。
これは決して「ファンダメンタルズは無意味だ」という主張ではなく、「自分の手法をシンプルに保つために、判断材料をテクニカルに絞る」という彼の個人的な選択なのです。この割り切りが、迷いのない一貫したトレードを可能にしています。
長期から短期へ―迷わないための「環境認識」の技術
では、チャートだけに集中するとして、具体的にどう分析するのか。水島氏が披露する「マルチタイムフレーム分析」は、単なる手順の羅列ではなく、市場の大きな物語を読み解くための技術です。
動画での分析は、次のような思考プロセスで展開されます。
- 物語の舞台設定(月足): まず、月足チャートで全体像を把握します。そこで彼は、過去に何度も価格を支えてきた強力なサポートライン(支持線)が現在の価格帯に存在することを確認します。これが、この日のトレード戦略全体の土台となります。
- 対立構造の発見(週足・日足): 次に時間軸を週足・日足へと落とします。すると、中期的な視点では明確な下降トレンドが進行していることがわかります。しかし、その下降の勢いが、まさに先ほど月足で確認した強力なサポートライン付近で弱まっています。ここに「長期的な買い圧力 vs 中期的な売り圧力」という、トレードチャンスを生む対立構造が生まれるのです。
- 戦略の決定(短期的なバイアス): この状況から、水島氏は「中期の下降トレンドは続いているが、より強力な長期のサポートによって、短期的には反発上昇(買い)が起こる可能性が高い」という戦略的な結論を導き出します。この日のトレードの方向性は「買い」に定まりました。
- 精密な実行(1時間足・5分足): 全体の方向性が決まって初めて、1時間足や5分足といった短期チャートで、具体的なエントリーポイントを探します。大きな流れに逆らわない、最も有利なタイミングを見つけるための最終ステップです。
このトップダウンのアプローチは、短期的な値動きのノイズに惑わされず、常に「森」全体を見てから「木」を選ぶことを可能にします。ちなみに水島氏は、初心者がこの感覚を掴むための実践的なヒントとして、「同じ時間軸のチャートを2つ並べ、片方は全体像が見えるように縮小し、もう片方は細部を見るために拡大する」という方法も紹介しています。
すべてのトレードは「仮説」から始まる
水島氏のもう一つの重要な洞察は、すべてのトレードを「仮説検証」のプロセスとして捉えることです。これにより、トレードは感情的な勝ち負けのゲームから、冷静な分析と検証の作業へと昇華されます。
プロセスはこうです。
- 市場分析から「このラインを抜けたら上昇が加速するだろう」といった仮説を立てる。
- その仮説に基づき、エントリー、利確、損切りのポイントを明確に定義する。
- そして、市場が仮説通りに動いたかどうかを客観的に観察する。
彼がここで強調する極めて重要な点は、「仮説通りに動いた上での負けは、非常に価値のあるデータになる」ということです。例えば、「このラインを割ったら損切りする」という仮説通りに価格が動いて損切りになった場合、トレードとしては損失ですが、自身の市場分析が正しかったことの証明になります。この検証の積み重ねこそが、分析の精度を未来に向かって高めていくのです。
その仮説通りに動いたのか、それが利益方向に伸びた時の仮説、損失方向に行った時の仮説、その通りに動いたのか。で、その仮説通りに動いた負けだったらもうそれはね検証としてめちゃくちゃ有益なものになるんですよ。
「成功体験」の積み重ねが自信を生む
動画の後半では、水島氏がここまでに説明した手法を用いて、リアルタイムでトレードを実践します。このライブトレードが、彼の理論の有効性を何よりも雄弁に物語っていました。
彼がトレードの舞台に選んだのは、比較的値動きが穏やかで「テクニカルが素直に機能しやすい」東京市場。初心者でもリスクを抑えながら経験を積むのに最適な環境だと彼は言います。
環境認識で定めた「買い」のバイアスに基づき、彼は5分足チャートの小さなレンジ(持ち合い)に注目。彼の仮説は「このレンジの上限を価格が明確に突破すれば、買いの勢いが強まる」というものでした。そして、価格がその上限をブレイクしたのを確認し、一瞬の押し目(価格がわずかに下がった瞬間)を捉えてエントリー。まさに仮説通りの展開で、わずか数十分で約20pipsの利益を確定させました。
このトレードを見ていた視聴者からは、「1時間足の起点まで戻るのを待っていたらエントリーできなかった。このやり方で初めてリアルタイムで稼げた」という声が上がりました。これは、彼の戦略が、教科書的な押し目買いを待つだけでは捉えきれないチャンスをいかにして掴むかを示した好例です。
彼らが手にしたのは利益だけでなく、「自分の仮説と計画で勝てた」という貴重な成功体験です。水島氏が語るように、まず小さな成功を積み重ねることが、将来的に大きなポジションを持つための揺るぎない自信を育むのです。
おわりに
この動画が伝える核心的なメッセージは、優れたトレーダーになるために、市場のすべてを知る必要はないということです。本当に重要なのは、自分自身が理解し、実行できる、シンプルで再現性のある論理的なプロセスを構築することにあります。
- 判断軸を絞るシンプルさ: 判断基準をテクニカルに絞り、ファンダメンタルズはリスク回避に使う。
- マルチタイムフレーム分析の明確さ: 長期的な視点で迷いをなくし、短期的なチャンスを捉える。
- 仮説検証による自信: すべてのトレードを検証と捉え、「成功体験」を積み重ねる。
これらの教えは、情報の大海で溺れかけている多くのトレーダーにとって、確かな羅針盤となるはずです。
ぜひ動画本編を観て、ご自身のトレードに活かせるヒントを見つけてみてください。

