はじめに
ECBの政策金利発表のような大きな経済イベントの後、相場は相反するシグナルが飛び交う戦場と化します。無数のノイズの中から、本物のチャンスはどこにあるのか?この問いこそが、プロとその他を分ける分岐点です。「FXゴールドナビ」の動画では、まさにこうした状況下で、プロの分析官がどのようにして混乱の中から優位性の高いトレード機会を特定するのか、その思考プロセスが明確に示されています。
本記事では、この動画で解説されている、広範な市場分析から具体的なトレードセットアップに至るまでの一連のステップを、分かりやすく分解してご紹介します。
通貨の強弱こそが、相場を読み解く鍵
動画の分析は2020年9月11日の市場環境の確認から始まります。まず注目すべきは、ドル円のような通貨ペアが静かな動きを見せる一方で、通貨間には明確な強弱の差が生まれていたという点です。
特に「ポンド(Pound)」は最も弱い通貨として特定されました。その根拠として、ポンドドル(GBP/USD)やポンド円(GBP/JPY)が約200pipsにも及ぶ大きな下落を見せていたことが挙げられます。対照的に、「ユーロ(Euro)」は相対的な強さを示していました。
このため、分析官のトレード戦略の主軸は明確でした。ポンドドル(GBP/USD)とポンド円(GBP/JPY)での売り(ショート)を狙う、というものです。このように、まず市場全体を俯瞰し、「最も強い通貨 vs 最も弱い通貨」という構図を把握することこそが、分析アプローチの基本的な第一歩となります。このアプローチは、相関性の高いペアのノイズを排除し、最も抵抗の少ない経路に資金を集中させる、プロのトレーディングにおけるまさに王道と言えるでしょう。
なぜプロは「ユーロポンド」に着目したのか
動画では、このポンド売り戦略を主軸としつつも、「補足」としてもう一つの興味深い分析が提示されます。それは、先ほどの「最強通貨(ユーロ) vs 最弱通貨(ポンド)」というロジックを直接的に適用した通貨ペア、すなわち「ユーロポンド(EUR/GBP)」の分析です。
これは、主要なトレード戦略とは別の選択肢として、トレーダーが検討する可能性のあるペアをプロの視点で評価するプロセスを示しています。闇雲にチャートを眺めるのではなく、市場の力学に基づいて複数の機会を体系的に検討する、という思考の流れがここに表れています。
教科書的ブレイクアウトを見極める「4つの評価基準」
ここからが、この分析の核心部分です。動画では、ユーロポンド日足チャートで発生したブレイクアウトを、極めて体系的に評価していきます。その分析フレームワークは、トレーダーが自身の分析にも応用できる、明確な評価基準として提示されています。
- 水平線の信頼性: ブレイクの起点となった水平線が、過去に何度もレジスタンス(抵抗)として機能していました。これは、その価格水準が多くの市場参加者に意識されていることの証明であり、ラインの信頼性を高めます。
- もみ合い期間の長さ: 価格がこの水平線の下で約3ヶ月間もみ合い(コンソリデーション)を続けていました。長いもみ合いは、売り手と買い手の圧力が拮抗し、レジスタンスラインの上にストップロス注文が溜まることで、ブレイク後の力強い動きにつながるエネルギーを十分に蓄積します。
- ラインの綺麗さ(ボックス形状): 価格が上下のラインで明確に区切られた、綺麗な「ボックス形状」のパターンを形成していました。曖昧さのないシグナルは、多くのトレーダーに同時に認識され、ブレイク方向への勢いを加速させる要因となります。
- はみ出しの有無: 完璧なパターンばかりではありません。チャート左側に見られる過去の価格の飛び出しを理由に、この基準の評価は「三角(まあまあ)」とされており、完璧ではない点も冷静に指摘しています。これは理想化されていない、現実的な評価プロセスの好例です。
特に、もみ合い期間の重要性について、動画のスピーカーは次のように強調しています。
勢いが出やすいブレイクの条件としてもみ合い期間に関しては非常に長いブレイクといえそうですね
利益確定の前に。プロが必ず確認する「上位足の罠」
質の高いブレイクアウトを特定しても、プロの分析はまだ終わりません。動画では、エントリー前の最後の、そして最も重要なステップとして「利益ポテンシャルの確認」が示されています。このトレードには、利益を伸ばすための十分な「空間」があるのか? それとも、エントリー直後に「壁」にぶつかってしまうのか?
分析官は週足と月足のチャートを確認し、日足では見えなかった強力なレジスタンスラインが、現在の価格の「意外に近く」に存在することを発見します。良いセットアップを見つけたからとすぐに飛びつくのではなく、この上位足の抵抗によってリスクリワード(Risk-Reward Ratio)が成立するかを慎重に評価するのです。動画内では、リスクリワード比が最低でも1対1以上を確保できるか、慎重に見極める必要があると結論付けています。この姿勢こそが、プロフェッショナルとアマチュアを分ける思考法なのです。
おわりに
この分析から得られる真の教訓は、単一のトレードアイデアではなく、プロが実践する体系的で再現可能な思考のフレームワークです。このプロセスを血肉とすることで、感情的な判断を排し、客観性を持って市場を航海することが可能になります。
- 通貨の強弱から市場全体の方向性を見極める。
- 最も優位性のある**トレード戦略(通貨ペアと方向)**を立てる。
- 複数の基準を用いてセットアップの質を厳密に評価する。
- 最後に上位足で利益ポテンシャル(リスクリワード)を確認する。
この一貫した思考プロセスは、あらゆるトレーダーにとって非常に価値のある学びとなるはずです。
動画本編で、この一連の思考プロセスをぜひ追体験してみてください。

