はじめに
FXトレードでルールを決めても、つい感情的にエントリーを繰り返してしまう「ポジポジ病」。せっかく積み上げた利益を一瞬で失ってしまうこの厄介な習慣に、自己嫌悪を感じているトレーダーは少なくありません。
「またルールを破ってしまった…」「自分はなんて意志が弱いんだ…」
しかし、もしその原因があなたの「意志の弱さ」ではなく、誰にでも起こりうる「脳の仕組み」にあるとしたらどうでしょうか?
今回ご紹介する動画では、ポジポジ病の根本原因を脳科学の視点から深く掘り下げています。この洞察は、トレーダーを不毛な自己批判から解放し、具体的な解決策へと導く力を持っています。本記事では、その核心的な内容を分かりやすく解説していきます。
「意志が弱い」は間違いだった?ポジポジ病の本当の原因
この動画が提示する最も解放的な視点は、「ポジポジ病は性格や能力の問題ではない」という事実です。多くのトレーダーが「自分の意志が弱いからだ」と責めてしまいがちですが、動画ではそれを明確に否定しています。
スピーカーの体感では、トレーダーの9割以上がこの問題に悩んだ経験があるといいます。これは、ポジポジ病が一部の人の弱さではなく、人間が本能的に陥りやすい、ごく自然な現象であることを示唆しています。
能力とか意思の強さっていうのは実は全く関係ない
この言葉は、多くのトレーダーにとって救いとなるはずです。問題はあなた自身にあるのではなく、人間の脳が持つ普遍的な仕組みにあるのです。
あなたの脳を支配する「報酬系の乱れ」
では、その「脳の仕組み」とは一体何なのでしょうか。その答えを理解するために、まず人間の行動を支配する大原則を知る必要があります。私たちの行動は、「快」を求め、「不快」を避けるという、二つの感情のバランスによって成り立っています。
FXトレードは、この「快」の感情を非常に強く刺激します。「もしかしたら大きな利益が得られるかもしれない」という不確実な興奮状態は、脳にとって強烈な快楽となります。ポジポジ病とは、この「快」を求める衝動が暴走し、「不快」(損失の恐怖やルール違反の罪悪感)を圧倒して、感情のバランスが完全に崩れてしまった状態なのです。
この「快」を生み出す脳のシステムを「報酬系」と呼びます。そして、この報酬系を動かす燃料が、快楽物質として知られる神経伝達物質「ドーパミン」です。
不確実な状況でドーパミンが過剰に分泌されると、理性のコントロールを上回り、快楽(この場合はトレード)を求める行動が止まらなくなります。これは、意志の強さとは無関係に誰にでも起こりうる生物学的な反応です。つまり、ポジポジ病は精神論ではなく、科学的に説明できる脳の現象なのです。
ポジポジ病とは報酬系の乱れである
この定義を理解することこそ、問題解決の真の第一歩となります。
暴走を止める「前頭前野」という司令塔
問題の原因が脳の「報酬系」の暴走にあるのなら、解決策はその暴走をコントロールする司令塔の機能を正常化することにあります。その司令塔こそ、脳の「前頭前野」です。前頭前野は、感情をコントロールし、理性的な判断を下す重要な役割を担っています。
動画では、この前頭前野を「回復させる」アプローチと、さらに上のレベルを目指して「活性化させる」アプローチが紹介されています。これらは単なるリラックス法ではなく、衝動を抑制する脳の機能を直接鍛えるためのトレーニングです。
1. 前頭前野を「回復」させる:弱った司令塔を正常に戻す
ポジポジ病に陥っているとき、前頭前野は疲弊し、弱っています。まずはその機能を正常な状態に戻す「回復」が必要です。
- マインドフルネス (Mindfulness): Googleなどの一流企業も導入する瞑想法。感情の波に飲まれず、冷静な状態を保つ脳の働きを取り戻します。
- ジャーナリング (Journaling): 「書く瞑想」とも呼ばれ、紙に自分の気持ちを書き出すことで思考が整理され、興奮した脳を落ち着かせます。
2. 前頭前野を「活性化」させる:司令塔をエリートレベルに鍛える
正常な状態に戻すだけでなく、勝ち組トレーダーのように、さらに強靭なコントロール能力を身につけるのが「活性化」です。
- 自分の頭で考える習慣 (The Habit of Thinking for Yourself): ネットで検索して得られる情報は、いわば「上澄み」にすぎません。その情報に至るまでに、分析を重ね、戦略を「練って練って」いく深い思考プロセスこそが、前頭前野を直接的に鍛え上げます。安易な情報消費に頼ることは、この最も重要なトレーニング機会を放棄していることと同じなのです。
最も効果的?トレードを「公開する」という意外な解決策
動画では、ポジポジ病に対する最も具体的で強力な戦略として、「自分のトレードを公開すること」を挙げています。SNSやコミュニティでトレードを他者に見せるという、一見ハードルの高いこの方法には、脳科学に基づいた3つの強力なメリットがあります。
- 健全な「不快」による感情のバランス回復: ルール違反のトレードを他人に見られる「恥ずかしさ」は、強力な「不快」の感情を生み出します。これが、ドーパミンによる「快」の暴走に対する完璧な重しとなり、崩れた感情のバランスを強制的に取り戻してくれるのです。これはまさに、脳の仕組みを利用したターゲット型の神経化学的介入と言えます。
- 「認知の歪み」の修正: 自分一人では気づけない思考の偏り(認知の歪み)を、他者からの客観的なフィードバックによって指摘してもらうことで、正常な判断力を取り戻すきっかけになります。
- 「言語化」による前頭前野の活性化: なぜそのトレードをしたのかを自分の言葉で説明(言語化)する行為そのものが、前頭前野を活性化させる最高のトレーニングになります。
この方法は、多くの成功しているトレーダーが、自らに規律を課すために実践している、驚くほど効果的なアプローチなのです。
おわりに
ポジポジ病を克服する道は、根性や意志力で感情と戦うことではありません。それは、自分の脳内で起きていることを正しく理解し、その仕組みを利用して脳を再トレーニングすることです。
この視点を持つことで、トレーダーは自分を責めることをやめ、脳科学に基づいた建設的な戦略に集中することができます。「意志が弱いからダメだ」ではなく、「前頭前野を鍛えよう」と考えることができるのです。
この記事で紹介した内容は、動画のほんの一部です。この動画を観て、あなた自身のトレードと向き合う新しい視点を見つけてみませんか。

