はじめに
「押し目買い」はトレンドフォローの王道であり、多くのトレーダーが実践する強力な手法です。しかし、誰もが一度はこんな経験をしたことがあるのではないでしょうか?「トレンドが続くはず、と確信して押し目を買ったのに、価格が反転して損切りに遭ってしまった…。」
なぜ、うまくいく時と、うまくいかない時があるのか。その違いはどこにあるのでしょうか。
今回ご紹介する動画では、その答えが驚くほどシンプルに解説されています。複雑なインジケーターや難解な理論ではありません。それは、トレンドの「本当の勢い」を見抜くための、たった一つの視点、「ボラティリティ」の変化に注目することです。この記事では、その核心的な考え方を紐解いていきましょう。
押し目買い成功の二大原則
まず、押し目買いが成功するための基本的な条件を再確認しましょう。動画では、成功の原則として次の2点が挙げられています。
- トレンドの勢い: 最も重要なのは、押し目が発生する「前」、つまりチャートの左側で、明確で力強いトレンド(勢い)が存在することです。
- 有利なエントリーポイント: 水平線や20期間移動平均線(20SMA)といった、価格が反発しやすい重要なサポートライン付近で買うこと。これにより、損切り幅を小さく、利益幅を大きくする「損小利大」のトレードが実現しやすくなります。
多くのトレーダーは2番目のエントリーポイントに集中しがちですが、トレードの成否を分けるのは、実は1番目の「トレンドの勢い」をいかに正確に測れるかです。勢いを測る指標は様々ですが、動画では最も信頼性の高い視点として、ボラティリティの明確な変化、すなわち「収縮から拡散へ」のサイクルに焦点を当てています。
「収縮」なくして「拡散」なし:相場のエネルギーを読む
動画が提唱する最も重要なコンセプト、それが「収縮」と「拡散」のサイクルです。これは、相場のエネルギーがどのように蓄積され、解放されるかを示しています。
力強いトレンド(拡散)は、ほとんどの場合、その前に値動きが乏しくボラティリティが低い「収縮」の期間から生まれます。これは、市場がまるでバネを縮めるようにエネルギーを溜め込み、一気に解放するプロセスに似ています。
チャート上では、この変化は値動きの性質が変わることで現れます。
- 収縮: ローソク足が小さく、横ばいに動く「横の動き」
- 拡散: ローソク足が大きく、一方向に強く動く「縦の動き」
この「横の動き」から「縦の動き」への明確な移行こそが、その後の押し目買いを支える「本物のブレイクアウト」のサインなのです。この原則は普遍的で、5分足から日足まで、あらゆる時間足のチャートで見られます。むしろ短期足の方が、値動きのメリハリがより鮮明に現れることも多く、デイトレーダーにとっても非常に強力な武器となります。
勝ちパターンと負けパターンをチャートで見分ける
では、この「収縮」から「拡散」への移行を、実際のチャートでどう見分ければよいのでしょうか。動画では、勝ちやすいパターンと負けやすいパターンの違いが明確に示されています。
- 勝ちパターン: 明確な「メリハリ」があります。ブレイク前、価格は小さなローソク足で横ばいに動く「収縮」状態にあります。この時、ローソク足に上下のヒゲが出ていることが多く、これは買いと売りの圧力が拮抗し、市場が方向性を探っている(=エネルギーを溜めている)サインです。そしてブレイクアウトは、それまでのローソク足とは比較にならないほど大きな陽線(または陰線)によって引き起こされる「拡散」状態です。
- 負けパターン: この「メリハリ」がありません。ブレイク前の値動きがすでに大きく、ボラティリティが高い状態です。ブレイクしたローソク足も決定的な大きさではなく、勢いを維持できずに失速します。これがいわゆる「だまし」です。
この決定的な違いについて、動画では次のように語られています。
ブレイク前の幅が小さくてブレイク抜け て き た ところ の 幅 が 大きい もの この メリハリ が しっかり と 出 て いる か
この一言に、本物のブレイクを見抜くヒントが凝縮されています。
なぜ、この視点が「だまし」を回避するのか
「収縮から拡散へ」という視点は、なぜこれほどまでに有効なのでしょうか。それは、私たちの注目点を「ラインを越えた」という単一の出来事から、「エネルギーが蓄積され、解放された」という一連のプロセスへとシフトさせてくれるからです。
多くの「だまし」は、エネルギーの蓄積がないまま発生します。そのため、勢いが続かず、すぐに反転してしまうのです。
動画で比較されていたドル円とポンド円のチャートは、この好例です。
- ドル円のブレイク(失敗例): ブレイク前に明確な「収縮」期間がなく、エネルギーが溜まっていませんでした。そのため、重要な水平線をブレイクしたにもかかわらず、勢いは続きませんでした。
- ポンド円のブレイク(成功例): 長い横ばいの「収縮」期間がありました。このレンジ内で、売り方の損切り注文が溜まっていき、ブレイクした瞬間にその損切りを巻き込む形で、強力な上昇(拡散)が生まれたのです。
このように、ブレイク前の「収縮」の有無を確認することで、エネルギー不足の弱いブレイクアウトをフィルタリングし、「だまし」を回避する確率を格段に高めることができます。
おわりに
押し目買いの勝率を上げるために必要なのは、単に水平線をブレイクしたという事実だけではありません。そのブレイクが、十分なエネルギーを溜め込んだ低ボラティリティの「収縮」状態から、高ボラティリティの「拡散」状態へと移行する、明確な「メリハリ」を伴っているかを見極めること。これこそが、トレードの質を変える、たった一つの視点です。チャートを見る際は、「ローソク足のサイズ」「横の動き」から、それが解放される「縦の動き」へと切り替わる瞬間を捉えることを意識してください。
ぜひ一度、ご自身の過去のトレードを振り返ってみてください。成功したトレード、失敗したトレードの前に、この「収縮から拡散へ」のパターンが見られたかどうかを検証してみることをお勧めします。
ぜひ動画本編で、実際のチャートを使った解説をご覧ください。チャートの「エネルギー」が見えるようになると、あなたのトレードはきっと変わるはずです。

