はじめに
2022年に発生した歴史的なドル円の急騰相場。多くのトレーダーが「一体どこまで上がるのか」と固唾をのんで見守る一方で、賢明なトレーダーは次の問いを立て始めています。「いずれ来る調整局面で、絶好の押し目買いポイントはどこになるのか?」と。今回ご紹介するYouTube動画は、この極めて実践的な問いに、20年以上にわたる過去データを用いて真正面から答えを探る、圧巻の検証記録です。古典的なテクニカルツール「フィボナッチ・リトレースメント」を使い、ドル円月足チャートでその有効性を徹底的に洗い出すこの試みは、単なる取引アイデアの提示に留まらず、驚くほど明確で説得力のある検証プロセスそのものを提供してくれます。
「本当に効くの?」フィボナッチへの疑問に20年分のデータで挑む
動画の核心は、制作者が絶大な信頼を寄せるフィボナッチ・リトレースメントの有効性を、客観的なデータで証明することにあります。実験の舞台は1999年以降のドル円(USD/JPY)月足チャート。多忙な個人でも実践可能な、シンプルかつ堅牢なスイングトレードのルールを見出すことを目指します。
動画内で、制作者はフィボナッチを次のように評価しています。
個人的にはフィボナッチ・リトレースメントに関しては信頼度が高いテクニカルツールだと考えています。水平線の次に効いてくるぐらい重要な指標だと思っています。
多くのトレーダーにとって、水平線によるサポート&レジスタンスは最も基本的で重要な分析ツールです。その次にフィボナッチを位置づけるということは、その有効性に対する並々ならぬ自信の表れと言えるでしょう。この動画は、その自信が単なる主観ではないことを、20年分のデータで明らかにしようとする試みなのです。
検証ルールは驚くほどシンプル
バックテストで用いられたルールは、誰にでも理解できるよう意図的にシンプルに設計されています。しかし、その背後にはトレーディングにおける重要な戦略的思考が隠されています。
- 対象: 1500pips以上の急騰・急落が発生した局面のみ。
- 理由: 小さな値動きはノイズが多く、トレンドの判断を誤らせがちです。一方で、1500pips(チャート上の500pipsグリッド3マス分)を超えるような大きな動きは、疑いようのない強力なトレンドを示唆します。フィボナッチの威力が最も発揮される、こうした明確な局面のみを厳選しています。
- エントリー1: まず、38.2%の戻し地点でエントリー。
- 理由: これは最も一般的で最初に意識される戻しの水準です。今回はあえて反発の確認などを待たず、ラインに到達した時点で機械的にエントリーすることで、「その価格レベル自体に統計的優位性があるか」を純粋に検証します。
- エントリー2: もし38.2%で損切りになった場合、次の50%の地点で再度エントリー。
- 理由: 最初の試みが失敗した場合の次善策です。38.2%を突破した勢いが、より深い押し目である50%ラインで止まる可能性に賭ける、分割エントリー戦略です。
- 決済ルール: 損小利大を徹底し、リスクリワードを明確に設定。
- 38.2%での決済: 利確500pipsに対し損切り250pips。これはリスクリワード比率を2:1に保つという、トレーディングの鉄則「損小利大」を具体化したものです。500pipsはチャートグリッド1マス分という、視覚的にも分かりやすい目標値です。
- 50%での決済: 利確目標を前回高値/安値まで伸ばす。このルールの真意は、単に損失を取り戻すことではありません。38.2%での小さな損失を吸収した上で、それをはるかに上回る大きな利益を狙う、より攻撃的な「損小利大」の実践です。
浮かび上がった「50%ライン」という名の法則性
20年以上にわたる検証を通じて、最も衝撃的だったのは「50%リトレースメントライン」の一貫した強さでした。特に、最初の防衛ラインである38.2%が破られた後、この50%ライン、すなわち古くから伝わる「半値戻し」が、まるで最後の砦のように機能し、強力な反転ポイントとして幾度となく大きな勝利トレードを生み出していきました。この驚くべき法則性について、制作者はこう語ります。
ここまで見てくるとどうやら50%ラインがすごく強いなっていうところが出てますね。
この結果は極めて重要です。38.2%が一般的な最初の押し目とされる中で、より深い50%ラインの強さは、月足レベルの大きなトレンドにおいて、この水準が市場参加者に強く意識される「本命の防衛ライン」であることを示唆しています。初動の買い支えが失敗した後、機関投資家などの大口資金がこの心理的にも重要な節目をターゲットにしている可能性が浮かび上がります。
単なる手法紹介ではない、検証プロセスそのものから学べること
この動画の真の価値は、特定の手法紹介に留まりません。それは、アイデアを立て(=フィボナッチは大きな波動で機能するはずだ)、客観的なルールを定義し(=1500pips以上の動き、具体的なエントリー/決済pips)、感情を排して淡々と過去データで試すという「検証プロセス」そのものを、透明性高く見せている点にあります。
これはまさに、プロの投機とギャンブルを分ける体系的アプローチの青写真です。制作者が示唆するように、視聴者はこのプロセスを応用し、他の通貨ペアや、日足・1時間足といった異なる時間軸で自身の手法をテストするための具体的なテンプレートを得ることができるのです。
おわりに
この動画は、シンプルなルールセットを手に20年以上のドル円チャートを旅し、驚くほど強力な法則性を掘り起こす、知的好奇心を刺激するドキュメンタリーです。感覚や思い込みに頼るのではなく、体系的な検証がいかに強力な洞察をもたらすかを教えてくれます。
この20年以上にわたる壮大な検証の結末を、ぜひ動画でご覧ください。

